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誰かの声が聞こえて目が覚めた。ちょうど夕方を示す時計と窓の外をぼんやりと見つめる。開いた窓から聞こえる井戸端会議かと思ったが、どうやら少し開いた部屋の扉の隙間から声が聞こえているらしい。
「いつ、治りそうなんですか」
昔から耳はいい方だ。なんとなく注意して声を拾うと、幼馴染のあいつだった。どうやら母と話しているらしい。
「お医者さんは半年、って言うてるけど……病院行くごとに期間延ばされててな」
「…やられたんは内臓でしたっけ」
「そう。やからなかなか治らんらしくって…あの子がここまで無理してたん、はよ気づいてあげればよかったなぁ」
母は私が倒れてしまったことを気に病んでいる。いくら私が「自己管理できなかった自分のせい」と言ったところで、母の思いが晴れるわけではない。そんなこと、私も重々承知している。
「…無理せんように、また声かけときます」
「ありがとうなぁ。迷惑かけるわ」
「ええですよ、もう慣れました」
慣れたってなんだ。そんな私の心の中のツッコミはよそに、母の笑い声が聞こえた。そしてすぐ後に、階段を上る音が聞こえる。なんとなく起きているのが気まずくて、寝返りを打って寝てるフリをした。
「…まだ寝てんのかお前」
やってきたのは幼馴染の方だったらしい。呆れたように言う男は、そのまま私の方へ近づいてくる。なんとなくの気配と、私のベッドの軋む音が、今まさに彼が近くにいることを告げている。少しだけ人の重さで、私の腰あたりのベッドが沈んでいる。バレません様に、と思いながら寝たふりを続ける。彼は少しだけ息を吐いた。
「…こんな時こそ頼ってくれ」
彼にしては重いトーンで、小さく吐き捨てられた言葉は、やはり彼らしいと言うか。おそらくこうやってまめに実家に戻ってきているのは私のせいだろう。あっさり見捨てることができるときはそうするけど、できないときもある。それが今回なのだろう。
ぎし、とベッドが音を立てると同時にベッドのへこみが消えて行く。離れて行く気配がして、私は彼の本当の名前を呼んだ。
「…なんか、よう？」
寝起きを装って、ゆっくりと体を起こす。目を開けた先の彼はゆっくりと振り向いた。その顔はいつも通りで、やや呆れたようにこちらを見ていた。
「寝すぎやろ」
「昼寝やもん」
「昼寝じゃなくなってるやんか」
嗚呼、やっぱりこいつは天邪鬼な男なんだろう。いつものトーンで話す彼を見て、そう思った。
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ぬ - ああああああ！！！！更新停止……！！！数年前の作品ですしもう届かないかもしれないですが文章から情景がとても伝わってきて好きです……！！ (2020年10月19日 1時) (
レス) id: 34bf2c87c5 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - SAKANAさん» や！やった〜！とっても嬉しいです！今忙しくて更新進めるのも遅くなりそうなのですが、よければまた見てやってください〜！ (2018年7月22日 21時) (レス) id: 1c2917eb3f (このIDを非表示/違反報告)
SAKANA(プロフ) - 好きです…とわぽんのこういう夏のお話待ってました…夏の暑さ、息苦しさなんかが文章一つ一つに感じられて好きです…更新頑張ってください… (2018年7月21日 21時) (レス) id: a3a9931e24 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - しぃさん» ありがとうございます！体調が芳しくなく、進みが遅いのですが気長に待ってやってください (2018年6月22日 23時) (レス) id: d1689b7237 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 文章から情景が浮かんで見えるようで、作品全体から夏独特の切ないような雰囲気を感じて凄く好きです。更新楽しみにしています！ (2018年6月22日 16時) (レス) id: a19881d269 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もっち | 作成日時：2018年6月4日 11時
