かいさつ.E ページ3
「「あ」」
夜も遅い駅の改札はしんとしていた。まばらに降りていく人々とともに、黙って改札を通り抜ける。
正しくは、通り抜けようとした。しかし、何の偶然か他の人と改札が被りそうになって目をあげる。すると見たことのある顔があった。
「お隣さん、ですか？」
スーツ姿に後ろの髪をくるりとお団子のようにまとめている、いかにもキャリアウーマンとも言えそうな女性。つい数日前に発覚したお隣さんだった。相変わらず困ったように眉尻を下げて笑う人だった。
「どうも」
「お仕事終わりですか？」
「まぁ、そんな感じっす」
「そうなんですね、お疲れ様です」
きゅ、と肩に鞄を掛け直しながら笑う彼女に言葉が詰まる。なんとなく自然と歩幅を合わせて歩くが、彼女は全く警戒しなかった。
「いえ、そっちもお疲れ様です。いつもこの時間なんですか？」
「いや、今日は早い方ですよ。いっつも終電なんで」
「…終電、ですか」
「あ、社畜とかじゃないんですよ？」
こんな時間に空いている店もなく、ただ静かな街に彼女の声が反響していた。
「シフト制というか、お昼から夜まで働くんです。忙しいのには変わりないんですけど」
「…なんか、大変っすね」
「あはは、そうですね。でもお隣さんも夜遅くまで働いてらっしゃるんでしょう？」
「俺は、たまたま…今日遅かっただけなんで」
「そうなんですか？結構夜遅くまで起きてらっしゃいますよね？たまに声聞こえますし」
びくり、と肩があがる。思い当たる節がありすぎた。申し訳ない気持ちが大きくて、乾いた喉で、少し空いた沈黙を埋める。
「すみません…うるさかった、っすか？」
「え？いや…深夜だから聞こえるだけだと思いますよ、私もたまに夜中にうるさいですし。あんまり気になりません」
ふにゃ、と眉を下げて笑う彼女に救われた。力の入っていた肩が下がり、ほっと胸を撫で下ろす。
「あはは、お隣さんって分かりやすいですね」
「…そう、すか？」
「はい、思いっきり今安心しましたよね？そんな怯えないでください」
「…そういうつもりは」
彼女がまた笑う。暗い夜道では彼女の表情は見えなくて、それでも雰囲気はなんとなく柔らかった。
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もっち(プロフ) - さくらんぼの種さん» はわわ嬉しいです！そんなに言っていただけるとは！新作も頑張っていきますのでよければお付き合いください！前も今回もコメントありがとうございました！ (2018年6月4日 20時) (
レス) id: d1689b7237 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼの種(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新されるたびにドキドキして楽しく読ませてもらいました。これからもちょくちょくきて、一気読みしたりしますね。何回読んでも飽きないこの作品が大好きです。新作、楽しみにしてます！ (2018年6月4日 16時) (レス) id: 3066f17872 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - 金平糖さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！ずっと見ていただいてくれていたんですね！本当にありがとうございました (2018年6月4日 14時) (レス) id: d1689b7237 (このIDを非表示/違反報告)
金平糖(プロフ) - 完結おめでとうございます！書き方とか、表現とかがとても上手で、見やすかったです。更新される度ワクワクしてました。あと勉強になりました。ありがとうございます。 (2018年6月4日 14時) (レス) id: 942887e5ad (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - さくらんぼの種さん» ひええ…コメントありがとうございます！嬉しいです。至らない点あると思いますが、絶対に完結させますのでよければお付き合いください (2018年4月23日 9時) (レス) id: d1689b7237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もっち | 作成日時：2017年7月14日 0時
