すぐそこに.E ページ28
「っ、やばい!Aさん後ろ!」
「なんでやねん!くそ、これでもくらえ!」
「ナイス!」
「…一応ここクリアですかね」
「ですね」
疲れたなと思ってソファに倒れこむ。置き時計を少し覗くと、数時間経っていた。よく見ると机の上の菓子やら飲み物が全部なくなっている。熱中しすぎて気づかなかった。
「うわ、もうこんな時間経ってるんですね」
気づかなかったのはAさんも同じようで、俺と同じくソファにもたれかかる。
「疲れましたね」
そう笑ってこっちを向く彼女に、大人らしく応える。手が届く場所にいるのに触れられない、という状況が少しもどかしい。
「…休憩しましょうか」
「そーですね」
それでも、一緒にいれるのが嬉しかった。だからいくらでも、もどかしさは押し込める。
「そういえば、夜ご飯どうします?あんまり決めてなかったですけど」
ただそのもどかしさを押し込んでる最中にとんでもないことを言われたらそりゃあ驚く。夜までいっしょにいていいのかこれ、いや多分異性として見られてないからとは思うけどなんだこれ、どうなってるんだ。
「…あ、これクリアするまでやるんじゃないんですか?」
「…多分朝になりますね」
そう言うと、俺のテンパった状況を察した彼女は、申し訳なさそうに苦笑を浮かべた。
「すいません、勝手にクリアまでやるもんだと…」
「…まあ、折角だし出前とりますか?ピザとか」
「あはは、それならコンビニで色々買い足します?パーティーですね」
「俺そんな食べれないっすよ」
「私もですよ」
Aさんって、こういう状況に慣れてるものなんだろうか?あまり考えずに言っているだろう彼女に少し困る。可愛いんだからこういうことすると普通危ないとか考えないのだろうか?それともそういうのに慣れてて、とか。
「…どーかしましたか?」
「あー、いや」
考えているうちに彼女を見つめてしまって狼狽える。きょとんとした彼女に言い訳を言おうと思っていると、髪に視線が止まった。
「糸くずついてて」
指でそれをはらうと、少しだけ彼女は押し黙った。髪の隙間から見える耳がほんのりと赤く染まって、少し目眩がした。
…これは期待しちゃってもいいんでしょうかね?
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もっち(プロフ) - さくらんぼの種さん» はわわ嬉しいです!そんなに言っていただけるとは!新作も頑張っていきますのでよければお付き合いください!前も今回もコメントありがとうございました! (2018年6月4日 20時) (レス) id: d1689b7237 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼの種(プロフ) - 完結おめでとうございます!更新されるたびにドキドキして楽しく読ませてもらいました。これからもちょくちょくきて、一気読みしたりしますね。何回読んでも飽きないこの作品が大好きです。新作、楽しみにしてます! (2018年6月4日 16時) (レス) id: 3066f17872 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - 金平糖さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!ずっと見ていただいてくれていたんですね!本当にありがとうございました (2018年6月4日 14時) (レス) id: d1689b7237 (このIDを非表示/違反報告)
金平糖(プロフ) - 完結おめでとうございます!書き方とか、表現とかがとても上手で、見やすかったです。更新される度ワクワクしてました。あと勉強になりました。ありがとうございます。 (2018年6月4日 14時) (レス) id: 942887e5ad (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - さくらんぼの種さん» ひええ…コメントありがとうございます!嬉しいです。至らない点あると思いますが、絶対に完結させますのでよければお付き合いください (2018年4月23日 9時) (レス) id: d1689b7237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もっち | 作成日時:2017年7月14日 0時