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「仕方ないんちゃう？そんな大事なこと、すぐ決められんって」
「でも、嫌われちゃったかも」
「それは、ない。それは心配せんでええと思うけど」
おそらく、リリーは相当ショックだったのだろうと思う。
かといって、嫌いになるかといったらまったくの逆で。
思い通りにならないことがあるときほど、自分の気持ちをより強く実感させられる。
たぶん、あいつは今はそこらへんでもがいているのだと思う。
少し前の俺みたいに。
「...賢ちゃんは？」
「えっ？」
Aの顔色が、さっと変わった。
何故、今その話題を？とでも言いたげに、目を丸くして俺を見る。
「賢ちゃんからも、あったやろ？連絡」
「あぁ...うん。元気にしてるか、って」
「なんかけっこう気にしとった、３人で飲んだ後から」
「...そう」
空になっていたAのグラスにワインを注いで、その次に自分のにも注ぐ。
部屋が乾燥しているわけではないだろうけれど、緊張からか、喉が乾いて仕方がなかった。
体にぐるぐると回っていくアルコールが、またすぐに次のアルコールを求める。
気づけば、750mlのボトルもまもなくフィニッシュを迎えようとしていた。
「そっちはどうなっとんの？」
「どうって...」
「急に諦めるって言うてたけど...賢ちゃんとも、なんかあったんやろ？」
何気ない風を装って言うと、Aの強張っていた頬がゆっくりと緩んで、口元に笑みが浮かんだ。
「...うん、そうだね。あったね」
観念したように溜息をついて、Aはまた、ふふ、と笑った。
少し酔いが回ってきたのかもしれない。
俺ほどではないにしても、けっこうなペースでグラスを空けているのだから、当然だ。
「あの日ね、賢志郎さん、ここまで一緒に来てくれたの。この部屋の中まで」
この部屋の中、というワードにドキッとして、つい身構えてしまう。
「賢志郎さんは玄関の前で帰ろうとしてたんだけどね。でも、なんだかんだ理由をつけて、上がってもらったの」
「へー...」
「ちょっと話するだけ、って思ったけど...やっぱり、それじゃあ全然ダメだった。私、賢志郎さんともっと一緒にいたくて、どうしても帰ってほしくなくて...結局、泊まってもらっちゃった」
「まじで、」
「うん」
頷いて、チラリと俺の後ろに目を向ける。
「そこのベッドで一緒に寝た」
平然と言われて、言葉が出なかった。
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えむ(プロフ) - ハンナさん» ハンナさん、いつもありがとうございます！そう言っていただけるとやる気が出ます笑 #2でお待ちしていますね☆ (2021年5月22日 10時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ハンナ(プロフ) - ンフフフ…やっぱりえむさんの書くお話…好きです……たまらんです☆続きが楽しみ…… (2021年5月22日 0時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年5月4日 22時
