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「ゆず兄、つき合ってたんでしたっけ？」
「いやいや」
「でも仲良かったっすよね」
「そうやけど」
「どっちか好きなんかな思てたけど...」
「もう、あんまり言わんとき」
急に、黙って聞いていた稲田が間に入ってきた。
驚いてふたりして首を横向けて見ると、稲田は腕組みして、何か達観したような表情で俺らを見る。
「河井さんはみんなと仲ええねん。誰が好きとか嫌いとかじゃないねん」
「なんやねん急に」
「Aちゃんのことが好きとか特別とか、そんなんじゃないねん」
「...そうなんすか？」
「そう。だからあんまりやいやい言わんとき」
そっか。とリリーが言って、話はそこで終わった。
稲田が急に首を突っ込んできて何を言うのかと思ったけれど、正直、その急さに助けられた。
局にいた頃からAはかわいがられるタイプだったから、一緒に仕事をするとすぐに覚えられて、今だにときどき話題に登ったりする。
俺はもともと人の話を聞くのが好きだし、Aも人懐こく何でも話してきたからか、周りに仲を勘ぐられたりすることも少なくなかった。
賢ちゃんやリリーが言うように、特に仲がよかった、と、本当は誰よりも俺自身が思っている。
思っているけれど、そうではないように装って、気持ちは悟られないようにして、今まで過ごしてきた。
だって、実際、特別な関係でもなんでもない。
仕事のこと、家族や友達のこと、好きな人のこと。
Aがあまりに俺のことを信用し切ってしまったから、俺は知らなくてもいいようなことまで、知りすぎてしまったのかもしれない。
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えむ(プロフ) - ハンナさん» ハンナさん、いつもありがとうございます！そう言っていただけるとやる気が出ます笑 #2でお待ちしていますね☆ (2021年5月22日 10時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ハンナ(プロフ) - ンフフフ…やっぱりえむさんの書くお話…好きです……たまらんです☆続きが楽しみ…… (2021年5月22日 0時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年5月4日 22時
