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そんなふうに言ってくれるくせに。
今、間違いなく目の前で微笑んでくれているくせに。
その目は俺を見てはくれない。
いつだって違うところを見ている。
なんで俺じゃダメなんだろう...って、今まで何回考えたっけ。
「昔からふたり仲良かったもんな」
不意に賢ちゃんが言う。
「彼女できてもよう遊んでたもんなぁ」
「...まあな」
「一回めっちゃ揉めてたときあったやん、なんか携帯見られたとかなんとかで」
「あー、あったねぇ。ゆずるさんの通話履歴に私の名前が多いから、って」
「もうええやん、そんな昔の話...てか賢ちゃん、鳴ってんで」
「...あ、ほんまや」
テーブルの上の賢ちゃんのスマホが震えて、話が途切れた。
助かった、と思った。
つき合ってもまったく無意味だった彼女の話なんて、Aの前ではしたくなかった。
忘れるための努力はそれなりにしてみた。
仕事に没頭したり、趣味に走ったり、彼女をつくったり。
仕事や趣味はともかく、俺のひそかなミッションにつき合わせてしまった女の子達には本当に悪いことをした。
何人か人を変えてみても、どうしても、やっぱりダメだった。
何人もの女の子と別れて残ったのは、その子達への申し訳なさと、理想が高いだとか飽き性だとか遊び人だとかの、どうでもいいようなレッテルだけ。
「電話？大丈夫なん？」
「大丈夫。後でかけ直すから」
「てか、A飲んどるかー？」
「え、なに急に」
Aがくすくすと笑い出し、それを見て俺もようやく心から笑っていた。
いちいち凹んだり喜んだり、今夜の俺は忙しすぎて、なんだか調子が狂いっぱなしだった。
店を出ると、顔に吹きつけた風が少し冷たくて、つい、こないだAと会った夜のことを思い出してしまう。
でも、今夜は大丈夫。
相変わらずふにゃふにゃなAがどんなにかわいくとも、今夜は、あんなバカな真似はしなくて済む。
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えむ(プロフ) - ハンナさん» ハンナさん、いつもありがとうございます！そう言っていただけるとやる気が出ます笑 #2でお待ちしていますね☆ (2021年5月22日 10時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ハンナ(プロフ) - ンフフフ…やっぱりえむさんの書くお話…好きです……たまらんです☆続きが楽しみ…… (2021年5月22日 0時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年5月4日 22時
