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「こないだリリーさんと話すタイミングがあったんですけど...」
「うん」
「あの人、本気なのか何なのかよくわからないことをいつも言ってくるんですよね」
「うん」
「私、もうどうしていいかわからなくなっちゃって...つい、思いっきり突き放してしまって」
何をどう話したのかはそれだけではわからなかったけれど、Aちゃんの思いつめたような表情を見ておおよその想像はついた。
そして、その想像はおそらく当たっている、と思う。
突き放すというのは物理的になのかそれとも心理的になのかという疑問も湧いたけれど、話を止めたくなかったので、黙ってそのまま聞いた。
「なんか失礼なことしちゃったような気がして...」
「失礼なこと？」
「リリーさんのこと傷つけちゃったみたいなんです...」
「それで気になってるんや」
Aちゃんは首を縦にも横にも振らない。
じっと鍋を見つめている。
「そんなつもりじゃなかったって、ひとこと伝えた方がいいのかなあ...」
「それはあかんと思うで」
敢えてピシャリと言うと、Aちゃんは驚いた顔で俺を見た。
「Aちゃんは言い寄られて断っただけやろ？」
「まあ...はい」
「そんならなんも悪いことしてないやん」
ピピピッとキッチンタイマーが鳴り、パスタが茹で上がったことを知らせた。
火を止め、鍋を抱えてシンクにお湯を流す。
少し手厳しい言い方をしてしまった責任を取って、俺が最後の仕上げを全部引き受けることにした。
「Aちゃん優しいから、気になってまうのもわかるけど。でも、男は好きな子からちょっとでも優しくされたら期待してしまうんやって」
赤く染まったフライパンにパスタを入れて、木べらでグルグルと混ぜる。
ボロネーゼが完成に近づいていく。
「うん、いい感じやな」
「...ごめんなさい、結局作ってもらっちゃってますね」
「俺こそごめん、言い方きつかったよな」
「いえ...水田さんの言う通りです。リリーさんのことなんて気にしても仕方ないのに...」
「たぶん本気やと思うわ」
火を止めて、もう一度馴染ませたら完成だ。
おしえたというには忍びないくらい、殆ど自分が手を出してしまったけれど、まあ、結果オーライということで。
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えむ(プロフ) - mugiさん» mugi様、コメントありがとうございます！続編に関しては、前向きに考えてみたいと思ってます☆新しいお話も進行中ですので、楽しんでいただけたら嬉しいです！また遊びにきてくださいね^_^ (2021年5月6日 23時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
mugi(プロフ) - 毎回更新を楽しみに待っていました。登場人物が個人的に大好きな方達ばかりだったので、とても楽しく拝読させていただきました!続編、需要しかないと思うのでぜひ!!新しいお話もどんな展開になるのか楽しみです(^o^) (2021年5月6日 0時) (レス) id: 354875201d (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - えみさん» えみ様、コメントありがとうございます！なんと嬉しいお言葉(T ^ T) 最後まで読んでくださって嬉しいです！今後ともぜひよろしくお願いします☆ (2021年5月4日 15時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。今まで読んだものでトップでよかったです！リリーさんが気付くコンビニからのシーンがすっっごい良かったです！しかも賢志郎くんも確信犯だった事も最高でした。次も楽しみに読ませていただきます (2021年5月4日 1時) (レス) id: 48f6541e7c (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - ハンナさん» ハンナ様、いつもコメントありがとうございます！あ、そうですね...その後どうなったのか私も気になります笑 やっぱりいつか続きを書きましょうかね！？毎回甘々ワードを考えるのが楽しかったので、反応していただけて嬉しいです☆ (2021年5月3日 23時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年4月16日 23時
