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「はい、何飲むー？」
ゆず兄がメニュー表を開くも、誰も真剣に見ようとはしなかった。
駆けつけの一杯目はビールと相場が決まっているからだ。
「すんません、ビール３つと、あと...テキトーに頼むで？」
ゆず兄は俺と賢志郎さんに向かって声をかけ、返答をろくに確認もせずに、オーダーをとりにきた店員のほうに体を向き直した。
店員に見えるようにメニュー表を傾け、店員もゆず兄に寄り添って話を聞こうとする。
置いてきぼり状態の俺も賢志郎さんも、その様をただ見ているだけで、特に口を挟むことはなかった。
途中、ゆず兄の口にする小難しいメニュー名が何かの呪文のようにも聞こえて笑いそうになった。
すぐに細長いシュッとしたグラスに入ったビールと何品か届いて、ようやく会が始まる。
「あー疲れた」
「ゆず兄、人呼びつけといて遅刻やん。何してたんすか？」
「何って仕事に決まっとるやろ」
「リリーは今日は何やったん？」
「ロケ行って収録でした」
「ええね」
賢志郎さんがニコニコして頷いた後、あ、という顔をして俺の手元を指差した。
「なんか鳴ってんで」
「え？あぁ」
スマホにメッセージが届いていた。
見ると、別れた彼女から。
「どうせ女やろ」
ゆず兄が毒々しいトーンで言う。
「女は女やけど」
「なによ」
「元カノっすわ。全然返しとらんのになぁ」
あれから一度も返していないのに、ときどき一方的にメッセージが送られてくる。
内容は、元気？とか、TV見た、とか、会いたい、とか。
返ってこないメッセージを待つ気分ってどんなだろう。
もしAちゃんの連絡先を知っていたら、きっと俺がこうなっていただろうな。
こんな状況、俺は元カノのように耐えられるだろうか。
そう考えると、連絡先を知らなくてよかったのかもしれない。
知らないままでいいこともあるのだな、と思わざるを得ない。不本意だけど。
「返してやれやー、ちょっとくらい」
ゆず兄が呆れたように言う。
「返したってなんにもならんやないすか」
「かわいそうやん。どうせテキトーなこと言って無理矢理別れたんやろ」
「無理矢理っていうか...」
「最後くらいちゃんとしとかなあかんと思うで」
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えむ(プロフ) - mugiさん» mugi様、コメントありがとうございます！続編に関しては、前向きに考えてみたいと思ってます☆新しいお話も進行中ですので、楽しんでいただけたら嬉しいです！また遊びにきてくださいね^_^ (2021年5月6日 23時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
mugi(プロフ) - 毎回更新を楽しみに待っていました。登場人物が個人的に大好きな方達ばかりだったので、とても楽しく拝読させていただきました!続編、需要しかないと思うのでぜひ!!新しいお話もどんな展開になるのか楽しみです(^o^) (2021年5月6日 0時) (レス) id: 354875201d (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - えみさん» えみ様、コメントありがとうございます！なんと嬉しいお言葉(T ^ T) 最後まで読んでくださって嬉しいです！今後ともぜひよろしくお願いします☆ (2021年5月4日 15時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。今まで読んだものでトップでよかったです！リリーさんが気付くコンビニからのシーンがすっっごい良かったです！しかも賢志郎くんも確信犯だった事も最高でした。次も楽しみに読ませていただきます (2021年5月4日 1時) (レス) id: 48f6541e7c (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - ハンナさん» ハンナ様、いつもコメントありがとうございます！あ、そうですね...その後どうなったのか私も気になります笑 やっぱりいつか続きを書きましょうかね！？毎回甘々ワードを考えるのが楽しかったので、反応していただけて嬉しいです☆ (2021年5月3日 23時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年4月16日 23時
