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「...忙しそうだねぇ」
「東京でもよう見るようになったしなぁ」
ベッドに並んで座り、ぼんやりと壁にかかった薄いTVを眺めながら、昨日の夜のことを思い出していた。
昨日の夜、俺が最後の仕事で局にいる間、Aはこっちにいる学生時代の友人と会っていた。
仕事が終わり、ホテルに戻るタクシーの中でのメッセージのやりとりで、Aがホテル手前のコンビニにいることがわかり、そこで降りることにした。
タクシーがコンビニの前に着いたときに、俺は既に気づいていた。
あの、道路に面した大きなガラス窓から漏れる煌々とした店の明かりが、外の暗闇の中でやたらと浮かび上がっていた。
ガラス窓の向こうの雑誌コーナーは、外からでもよく見えた。
なんだったら、俺の到着を今かと待つAの姿よりも、先に目に入っていたくらいだった。
見つからないようにと注意を払いながらAの様子を気にかけている、リリーの姿が。
敢えて知らないふりをした。
そっと追いかけてきていることにも本当は気づいていた。
だから、あれは。あのキスは。
全部わかっていて、やったこと。
(...やりすぎやったかなぁ...)
胸の奥のほうから、罪悪感がふっと顔を出す。
ほんのちょっと魔が刺したというか。
今まで何もできなかったことへの反動というか。
あいつに今更、恨みもわだかまりも、何もないけれど。
強いて言うなら、エレベーターのあの件の...仕返し。
(...ごめんなぁ)
顔では平然とTVの中のその姿を見つめながら、心の中では両手を合わせて呟いた。
「...あ、ちょっとごめん」
Aが突然立ち上がって言った。
「電話が、」
スーツケースとは別にしていたリュックのサイドポケットからスマホを探り当てて、バスルームのほうに向かう。
着信があったようだ。
「...はい。あ、大丈夫です」
Aはスマホを耳に当てながらバスルームの中へ駆け込んだ。
パタン、と扉が閉じられ、声がシャットアウトされた。
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えむ(プロフ) - mugiさん» mugi様、コメントありがとうございます！続編に関しては、前向きに考えてみたいと思ってます☆新しいお話も進行中ですので、楽しんでいただけたら嬉しいです！また遊びにきてくださいね^_^ (2021年5月6日 23時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
mugi(プロフ) - 毎回更新を楽しみに待っていました。登場人物が個人的に大好きな方達ばかりだったので、とても楽しく拝読させていただきました!続編、需要しかないと思うのでぜひ!!新しいお話もどんな展開になるのか楽しみです(^o^) (2021年5月6日 0時) (レス) id: 354875201d (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - えみさん» えみ様、コメントありがとうございます！なんと嬉しいお言葉(T ^ T) 最後まで読んでくださって嬉しいです！今後ともぜひよろしくお願いします☆ (2021年5月4日 15時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。今まで読んだものでトップでよかったです！リリーさんが気付くコンビニからのシーンがすっっごい良かったです！しかも賢志郎くんも確信犯だった事も最高でした。次も楽しみに読ませていただきます (2021年5月4日 1時) (レス) id: 48f6541e7c (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - ハンナさん» ハンナ様、いつもコメントありがとうございます！あ、そうですね...その後どうなったのか私も気になります笑 やっぱりいつか続きを書きましょうかね！？毎回甘々ワードを考えるのが楽しかったので、反応していただけて嬉しいです☆ (2021年5月3日 23時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年4月16日 23時
