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制服から私服に着替えて束ねていた髪を解いて、もう帰るだけだけど一応鏡を覗いて、少しだけメイクを整える。
最後に指輪をして、仕事に入る前の状態にやっと戻れた。
メイクポーチと、洗濯するつもりのシャツとエプロンをまとめてリュックにしまい、よいしょと背中に背負ったら、リリーさんが表に来ていることなどもうすっかり忘れてしまっていた。
裏口のドアを開けると、薄暗くなってきた外の世界とリリーさんが私を待っていた。
私がここから出入りすることを先読みしていたようだ。
「おつかれ」
中から出てきた私に向かってリリーさんが言う。
手にはうちのお店の紙カップを持って。
「やっぱ出入口こっちやったんやな」
「...え、なんで」
すぐそこにいることを忘れていたから余計に驚いてしまって、変な声が出た。
そんなことは気に留めず、いつもの飄々とした様子でリリーさんは言う。
「あんなすぐおらんようなるなんてあんまりやん」
「...だってもう帰る時間だから」
「やっぱ、私服もかわいいな」
「そうですか」
「まっすぐ帰るん？」
「スーパーに寄って帰ります」
「さすが人妻」
正直に答えてしまったのと、それに対するリリーさんのリアクションに少し恥ずかしくなった。
初めて話をしたときの、面食らったあの気持ちを思い出した。
「...最初に会ったときもそれ言ってましたよね」
「人妻？」
「そう、それ」
「人妻やん」
「そうだけど」
もう仕方がないので、話しながら歩き出した。
とりあえず歩いて行けばどこかで進む方向が分かれるだろうと思ったのに、リリーさんは何食わぬ顔でついてくる。
大通りの一本脇の裏道を進み、仕事帰りらしきサラリーマンや学生風の男の子、犬の散歩中のおばさまとすれ違って、カフェや劇場からどんどん離れていく。
私と一緒に、どこまで行くつもりなのだろう。
「私、なんだこの人って思ったんですよ。あのとき」
「どうりで。変な顔して見てくるなあ思とったわ」
「困っちゃいました。いろんな人が来るけど、初めてのタイプだなあって」
「大阪ではあんなもんやと思うけどなあ」
「...ていうか、もしかしてついて来てます？」
並んで歩く状況に耐えかねて尋ねると、リリーさんは平然として答えた。
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えむ(プロフ) - mugiさん» mugi様、コメントありがとうございます！続編に関しては、前向きに考えてみたいと思ってます☆新しいお話も進行中ですので、楽しんでいただけたら嬉しいです！また遊びにきてくださいね^_^ (2021年5月6日 23時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
mugi(プロフ) - 毎回更新を楽しみに待っていました。登場人物が個人的に大好きな方達ばかりだったので、とても楽しく拝読させていただきました!続編、需要しかないと思うのでぜひ!!新しいお話もどんな展開になるのか楽しみです(^o^) (2021年5月6日 0時) (レス) id: 354875201d (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - えみさん» えみ様、コメントありがとうございます！なんと嬉しいお言葉(T ^ T) 最後まで読んでくださって嬉しいです！今後ともぜひよろしくお願いします☆ (2021年5月4日 15時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
えみ(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。今まで読んだものでトップでよかったです！リリーさんが気付くコンビニからのシーンがすっっごい良かったです！しかも賢志郎くんも確信犯だった事も最高でした。次も楽しみに読ませていただきます (2021年5月4日 1時) (レス) id: 48f6541e7c (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - ハンナさん» ハンナ様、いつもコメントありがとうございます！あ、そうですね...その後どうなったのか私も気になります笑 やっぱりいつか続きを書きましょうかね！？毎回甘々ワードを考えるのが楽しかったので、反応していただけて嬉しいです☆ (2021年5月3日 23時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年4月16日 23時
