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「けんちゃんにだけはそんなこと言われたくない。隠してたのは悪かったと思うけど、」
「ごめん、ごめんA、」
「だって...わかってるでしょう？」
私がどんなにあなたを想っているか。
私がどんなにあなたのそばにいたいと願っているか。
そう続けようとしたのを遮るように、抱きしめられた。
「うん、ごめん。わかってる」
なだめるような優しい声で言われて、はっとする。
あぁ...なんてことだ。
けんちゃんに向かって怒ってしまった。
最低。こんなのただの逆ギレでしかない。
あたたかい胸元が頬に触れ、大好きな優しいにおいに包まれて、取り憑いていたものが抜け出たように冷静になった。
自分の中に思ってもみない感情があったことに、そこで初めて気がついた。
ずっと一途に注いでいるこの気持ちをなかったことにされた気がして、私はただ、悔しかったのだ。
誰に疑われても、けんちゃんにだけは信じていてほしい。
そうでなかったら、こんなに悩んでいない。
「変なこと言うてごめんな」
すべて受け止めると言わんばかりのけんちゃんに「あなたは何も悪くない」と言いたかったのに、私の喉は閉じたままだった。
「でもな、Aもわかってるやろ？」
「...何、を？」
喉をこじ開けようとしたらおっかなびっくりな声が出て、けんちゃんがふふ、と笑う。
「俺がAのこと嫌いになるはずないやん」
「でも...」
「そら、あんまりいい気はせんけど...」
「うん...」
「いや、あんまりちゃうな。めっちゃ。めっちゃ腹立つけど」
けんちゃんが念を押して言うので、おかしくなってきて、私も自然と笑顔になっていた。
「でも、よかった」
「よかった？」
「最近な、周りからいろいろ聞いたりしてて、なんかあるんやろなって気になっててん。あいつのこと」
「そうだったんだ」
「それでずっと...ほんまはこんなん、かっこ悪いし、情けないし、言いたないんやけど...。けど...ずっと、怖かってん」
私を抱いていた腕がぎゅうっと、力強くなった。
それは、怖かった、という言葉とリンクしているように思えた。
「だから、離れないで」そう言われているようで。
「俺よりあいつのほうがええって言われたらどうしよって、ちょっと思ってもうてたから...」
そう言ってけんちゃんはしゅんとして項垂れた。
私に預けるようにして頭が下がってきて、支えている肩が重くなった。
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えむ(プロフ) - ハンナさん» ハンナ様、コメントありがとうございます！甘いかどうか気になっていたので、そう言っていただけて安心しました！#3も楽しんでいただけるようがんばりますね^_^ (2021年4月15日 23時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ハンナ(プロフ) - 甘いー…甘くてステキなお話をいつもありがとうございます… 楽しみで楽しみで終わってほしくない…！です (2021年4月15日 1時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - ゆずさん» ゆず様、いつもありがとうございます！^_^ (2021年4月4日 18時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - あぁどうなるでんしょう…いつもドキドキしながら読ませてもらっています！ (2021年4月3日 15時) (レス) id: f338c2e715 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年3月20日 23時
