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「俺Aのこと寂しくさせてた？」
「...うん」
「ごめんな」
「...やだ」
「やだ？」
「ごめんだけじゃイヤ」
「...なんか今日わがままやな」
そう言って優しく抱きしめられて、胸がきゅうっと熱くなった。
たった数日の間にいろんなことがあって、思いのほか私の心は疲れていたみたいだ。
けんちゃんの腕の中に包まれた途端、安心感でいっぱいになって、体の力がゆるんでいくのを感じた。
それほどまでに肩に力が入っていたのかと思うと、あの人のマイペースさが恨めしくなる。
思い出したくないのに、ずっと頭の中に居座り続けられているのが悔しい。
だから、私の頭の中を全部、けんちゃんで塗り替えてほしい。
「...わがまま言っちゃダメなの？」
「んーん。いっぱい言うて」
「久しぶりに会えたからもっとぎゅっとしてて欲しかった」
「うん、そやな」
なんでこんなことを言ってしまうのか自分でもわからないけれど、子供のように甘えていたい気分。
私の思惑通りにけんちゃんは更に優しく微笑み、私の背中を抱いてキスをする。
額に、頬に、鼻先に、唇に。
唇型のスタンプを押されているみたいで、なんだかかわいい。
「一緒にいてやれんことも多いしさ。その分何でも聞いてやりたいて思ってるから」
「うん」
「言いたいことがあんなら言うてええねんで」
抱きしめられながらそう言われて、
そうだ、いっそこのまま言ってしまえば...
と、この際、この数日の間に起こったことをすべて話してしまおう、と思った。
「...けんちゃん、」
「ん？」
「あのね、」
あの人と一緒にエレベーターに閉じ込められたこと。
そこで好きと言われてキスされたこと。
舞台のたびに私に会いにやって来ること。
何度も断っているはずなのに全然通じていないこと。
頭の中で整理がつけばつくほど...
やっぱりダメだ。
やっぱり言えない。
言ったところでけんちゃんにどうすることもできないし、戸惑わせるだけだ。
第一、けんちゃん以外の人とキスしたなんてこと、知られたくない。
「...ううん、なんでもない」
「ほんまに？」
「うん」
「...そんならええけど」
小さく呟いて、けんちゃんは私の背中をポンポンと叩いた。
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えむ(プロフ) - ハンナさん» ハンナ様、コメントありがとうございます！甘いかどうか気になっていたので、そう言っていただけて安心しました！#3も楽しんでいただけるようがんばりますね^_^ (2021年4月15日 23時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ハンナ(プロフ) - 甘いー…甘くてステキなお話をいつもありがとうございます… 楽しみで楽しみで終わってほしくない…！です (2021年4月15日 1時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - ゆずさん» ゆず様、いつもありがとうございます！^_^ (2021年4月4日 18時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - あぁどうなるでんしょう…いつもドキドキしながら読ませてもらっています！ (2021年4月3日 15時) (レス) id: f338c2e715 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年3月20日 23時
