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(早く着かないかなぁ...)
表示のランプがちょうど６に達したところだった。
足元が突然ガクン、と音を立てて揺れ、上昇が急停止した。
「えっ、」
「おわ、」
そして、TVの画面がプツンと切れたみたいに照明が落ち、途端に辺りが真っ暗になった。
「え...っ！？」
条件反射で周りを見回しても、当然のように、なんにも見えない。
「なに...？」
考えずに出た声が震えていた。
前後左右何も見えなくて、自分が今どこに立っているのかすらわからなくなった。
「...地震、か？」
リリーさんが呟く。
地震、という言葉で更に恐怖が増して、今度は声も出なくなってしまった。
心拍数が上っていく。
足がすくんで動けない。
(.........けんちゃん...)
ふと目の裏に優しい顔が浮かんできて、思わず唇を噛んだ。
落ち着け、と心で唱えると、隣から何かが伸びてきて、体の横に下ろしていた私の右手に触れる。
手繰り寄せられるように指を絡められ、繋がれて、その伸びてきた何かがリリーさんの手だとわかった。
「...あ、あの、」
「大丈夫」
言葉と同時にぎゅっと握られて、ドキッとした。
「大丈夫。俺おるから」
「...、」
「すぐ動くから。...ちょっとの辛抱や」
手を繋いできたのは私を安心させるためなのだと気づいて、それ以上言葉を発するのをやめた。
見上げてみても、顔は見えない。
けれど、その落ち着いた声で恐怖が薄らいだ。
下手に動けばどうなるかわからないから、どうすることもできずに、手を繋いだままでふたりして立ち尽くす。
何かを話すでもなく、ただ静かに時が来るのを待った。
そうしているうちに、出会って最初の頃に感じていたリリーさんへの不快感がどこかへ消えていた。
あたたかい、大きな手。
けんちゃんとどっちが大きいのかな...なんて考えていた。
今頃何をしているんだろう。
今日は舞台だったかな。
地震、大阪は大丈夫なのかな。
会いたいな。
少しして、照明が復帰した。
暗闇に目が慣れたせいか、急に明るくなった箱の中がさっきよりも格段に眩しく感じて、咄嗟に目を閉じた。
運転はまだ停止したままだったけれど、それでも何も見えなかった時間よりずっと安心感が増す。
「...大丈夫？」
声をかけられて、改めて繋がれた手の存在に気づいた。
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えむ(プロフ) - ハンナさん» ハンナ様、コメントありがとうございます！甘いかどうか気になっていたので、そう言っていただけて安心しました！#3も楽しんでいただけるようがんばりますね^_^ (2021年4月15日 23時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ハンナ(プロフ) - 甘いー…甘くてステキなお話をいつもありがとうございます… 楽しみで楽しみで終わってほしくない…！です (2021年4月15日 1時) (レス) id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - ゆずさん» ゆず様、いつもありがとうございます！^_^ (2021年4月4日 18時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - あぁどうなるでんしょう…いつもドキドキしながら読ませてもらっています！ (2021年4月3日 15時) (レス) id: f338c2e715 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年3月20日 23時
