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「この子、賢ちゃんの元カノ」
ゆずるが言う。
「こっちは俺の彼女」
「どうもぉ」
「...はじめまして」
ニコッと笑う元カノと、萎縮気味に会釈するAの間で、俺は居心地の悪さを感じずにはいられなかった。
たしかに俺の元カノだし、ゆずるの彼女だ。
たしかにそうなんだけど、そんなにハッキリと口にされると、なんだか不安になってくる。
Aを元カノに会わせることになるとは夢にも思わなかったから、なんていうか、焦る。
Aの知らない昔のことを丸裸にされたような、妙に気恥ずかしい気持ちになってしまう。
元カノを見て、こういう子が好きなのか、とか思われてしまうのだろうか。
最も、気まずいのは俺だけであって、Aにとってはきっとどうでもいいことなのだろうけど。
「今バッタリ会ったとこやねん」
「そうなんだ」
ゆずるがAに向かって言うと、Aはようやく笑顔になって頷いた。
よく見ると、手にはレシピ本。
新しい生活の準備だろうか。
きっと、ゆずるのプロポーズへのAの返事は、ＯＫだったのだろう。
「めっちゃ久しぶりでビックリしたわー。何年ぶりやろ？」
「もう４、５年とか？ほんまに私もビックリ」
「賢ちゃん達はまだ会うてるん？」
ゆずるの視線が向けられて、俺と元カノは自然と顔を見合わせた。
「私らも...」
「うん。会うてるで」
先に口を開いた元カノを遮って言うと、元カノは咄嗟に言葉を引っ込めて俺を見た。
その驚いた顔を横目に入れながら、嘘を続ける。
「今日も終わったらうちに来ることになってるし。な？」
急に思いついたのだ。
俺の "好きな人" は、実は "忘れられない元カノ" だった、というパターンでいこう、と。
元カノは一瞬眉を歪めた後、取り繕った笑顔で頷いた。
「えっと...うん。そうやね」
「へー、そうなんや」
完全に信じ切って、感心したように言うゆずるの顔を見て、もうどうにでもなればいい、と思った。
早く、Aのことを忘れなければ。
ただその一心で、また嘘をついた。
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えむ(プロフ) - ゆずさん» いつもありがとう☆コメント嬉しいです^_^ (2021年10月10日 23時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - HanNAさん» いつもありがとう☆今回も楽しんでもらえるように頑張りまーす！ (2021年10月10日 23時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - これからの展開にドキドキします！楽しみです( ´∀｀) (2021年10月9日 21時) (レス) @page16 id: f338c2e715 (このIDを非表示/違反報告)
HanNA(プロフ) - お疲れ様ですー☆ やっぱりえむちゃんすごい…です…読んでいてバクバクする！これから楽しみです！ (2021年10月9日 1時) (レス) @page16 id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年10月2日 23時
