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「なんか、機嫌よお帰ってきてさ。賢ちゃんといろいろ話せて楽しかったって」
「うん。俺も楽しかったで」
「またうちにも遊びに来てな」
「うん」
意識して口角を上げて、ちゃんと笑っているように見せるのが精一杯だった。
鏡を見ることもできないし、自分がどんな顔をしているのか少し不安だったけれど、目の前のゆずるの反応を見ると、なんとか成功しているようだ。
よかった。
「それじゃ」
「うん、また」
掌をヒラヒラさせて去っていく後ろ姿を見送って、そこでようやく肩の力が抜けた。
酒屋に行った後に飲んだことは知っているのか、ゆずるのあの言い方だけではよくわからなかった。
でも、自分から言い出すのも躊躇われて、つい口をつぐんでしまった。
プロポーズしようと思っている、なんて聞いてしまったら、余計に無理だ。
知らないのなら知らないままでいいし、知っていて何も言わないのなら、それもそれでいい。
ふたりの邪魔をしてはいけない。
邪魔になりそうなことは、今までのこともこれからのことも、すべて消してしまわなくては。
感情を押し込めることには慣れているはず。
なのに、苦しくてたまらない。
家路を辿るタクシーの中も、灯りのついた部屋の中も、柔らかな毛布にくるまるベッドの中も。
暗くて、寒くて、寂しくて。
自分が自分じゃないみたいだ。
こんな気持ちになったことなんて、今までなかった。
プロポーズは、きっとうまくいくだろう。
幸せそうに見つめ合うふたりの画が、黙っていても目の裏に浮かんでくる。
幸せならそれでいい。
ゆずるなら安心してAを託せるし、何よりふたりはお似合いだ。
それなのに、この、胸に大きな穴が開いたような感覚は、いったい何だ。
(...結婚、か...)
寝室の真っ暗な天井を見上げて思い出すのは、愛しいあの笑顔。
そっと見つめるだけで胸が躍り出す、不思議な引力を持った、Aの全部。
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えむ(プロフ) - ゆずさん» いつもありがとう☆コメント嬉しいです^_^ (2021年10月10日 23時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - HanNAさん» いつもありがとう☆今回も楽しんでもらえるように頑張りまーす！ (2021年10月10日 23時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - これからの展開にドキドキします！楽しみです( ´∀｀) (2021年10月9日 21時) (レス) @page16 id: f338c2e715 (このIDを非表示/違反報告)
HanNA(プロフ) - お疲れ様ですー☆ やっぱりえむちゃんすごい…です…読んでいてバクバクする！これから楽しみです！ (2021年10月9日 1時) (レス) @page16 id: 9d1b7de85f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年10月2日 23時
