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「話はそんで終わり？」
普段の会話と何ら変わらない口調で賢ちゃんが言う。
「え、うん」
「ずっと前から別れようって思てたんや？」
「思ってたというか...考えては、いた」
「そんなに別れたいん？」
「.....」
不意な問いかけに、一瞬、言葉を飲み込んだ。
別れたいかと聞かれると、微妙なところではある、けれど。
「...ハイ」
「あぁ、そう」
賢ちゃんは私を見つめたまま、淡々と頷いた。
怒っているでも笑っているでもなく、なんていうか...無。
その表情や声にあまりに抑揚がなくて、私はさっきからずっと戸惑いっぱなしだった。
こういうところ。
何を考えているかわからないところ。
こういう賢ちゃんを見るのが、こういう賢ちゃんと一緒にいて距離を感じてしまうのが、すごくつらかった。
だから...もう、仕方がないの。
「それじゃ私、そろそろ...」
「わかったから、」
立ち上がろうとした私を、賢ちゃんの強めの声が制した。
「わかったから、最後に一回さして」
「え？」
「したなった」
耳を疑う私を無視して、賢ちゃんは言う。
「今日はもう泊まってったらええし」
「え？？何言って...」
「最後に一回、Aとしたい」
「ちょっと待ってよ、」
焦る私を、賢ちゃんの目がまっすぐに捕らえた。
目が合って、離せなくなって、ふと気がついた。
無だと思っていた賢ちゃんの表情が、いつのまにか、今まで見たことがないくらい真剣な色に変わっているということに。
「...待たへん」
賢ちゃんがテーブルに身を乗り出し、右の掌で、私の左頬に触れた。
「Aにもう一回触らして」
「賢ちゃ...」
「別れたいなんて二度と言われへんようにしたるから」
問答無用でキスされた。
その瞬間、情けないことに、今までの苦悶も覚悟も涙も、私の心を曇らせていたあらゆる全部が、もうどうでもよくなった。
(...ずるい...)
そのまま引き寄せられ、距離が近づく。
「俺全然オッケーしてへんで」
「.....」
「どこも行かんで。無理やわ」
もうイヤなの。こんな思いをするのは。
もうやめにしたいの。あなたとの何もかも。
たくさんたくさん考えて。
たくさんたくさん泣いて悩んで、本気でそう思っていた...はずなのに。
(...ホント...魔法みたい...)
もう一度迫る唇に、思わず目を閉じた。
fin.
.....
歌ネタ。
(あくまでイメージ)
.
続く
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えむ(プロフ) - HanNAさん» こちらこそいつもありがとう☆また来年もよろしくです！！ (2021年12月31日 8時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
HanNA(プロフ) - えむちゃん、いつも素敵なお話ありがとうございます！よいお年をお迎えくださいー (2021年12月29日 1時) (レス) @page26 id: ea9d2e9102 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - みかみかさん» コメントありがとうございます☆あー、良かったですー。喜んでいただけて、ほっとしました^_^ いろいろ想像しながら書くのが楽しかったです☆こちらこそ良い機会をありがとうございました。是非またどうぞです☆ (2021年11月6日 20時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
みかみか - 早速読ませていただきました！！もう最高でした！キュンどころじゃないですズッキュン心ぶち抜かれました（笑）えむさんの言葉選びほんとに好きです！素敵なお話ありがとうございました(T▽T) (2021年11月6日 6時) (レス) id: b0f25e0f76 (このIDを非表示/違反報告)
みかみか - えむさん» はい！もちろんゆっくりで大丈夫です！読んだ後感想も書かせて頂きます！素敵な作品お待ちしてます！ (2021年11月1日 23時) (レス) id: b0f25e0f76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年9月19日 22時
