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「あのさぁ」
「なに？」
思わずツンとして答えてしまったけれど、もうそれでいい。
「Aもやん」
「なにが？」
「Aやって俺のことずっと偽名で呼んでるやん」
「偽名って」
吹き出しそうになった。
あなたの大切なもうひとつの名前でしょうに。
「...本名で呼んで欲しいってこと？」
「まあ、そやな」
「じゃあ、まさきくん」
「惜しい」
惜しいって何。
「まーくん」
「んー、それもええけどちょっと離れた」
「しみずさん」
「離れたわ」
「しみず」
「それは違う」
「もう、わかんないよ」
ゲームみたいで、なんだかモヤモヤしてきた。
回答を放棄して、ソファーに深くもたれかかる。
私、子供の頃からゲームは得意じゃない。
リリーさんにも鈍いってよくバカにされるし、ハッキリ言われないとわからない。
好きとか愛してるとか、大事だよとか。
そういうのも全部、目を見てちゃんと言ってくれないと、本当かどうかわからない。
「まあなんでもええけど」
急に興味を失ったのか、リリーさんはまたぷいとTVのほうを向いてしまった。
相変わらずマイペースで、私のことなどかまいもしない。
私が本当は不安に押しつぶされそうになっていることにも、気づきもしない。
どうせ俺から離れたりしないんだろう、って顔してる。
だから私は悔しくなって、かわいくない態度を取るしかなくなってしまう。
「どうせまた鈍いって言うんでしょ」
「まー、鈍いは鈍いんちゃう」
「悪かったですね。鈍くてうるさくてかわいくない彼女で」
「それも違う」
リリーさんの目が私をじろっと見たかと思うと、目にも止まらぬ速さで、キスされた。
「かわいくないだけ余計」
「え？」
「鈍くてうるさいけど、Aはむっちゃかわいい俺の彼女」
そう言って何事もなかったようにゴロンと横になって、私の膝の上に頭を預ける。
途端に大きなあくびをして、眠たそうに伸びをした。
「もう寝る？」
「ん...」
頭をそっと撫でると、切り立ての髪が指に絡んだ。
何も言わずに目を閉じてしまって、今にも眠ってしまいそう。
お疲れモードの横顔から、心地よさげな深い呼吸の音がする。
また言ってもらえなかったな。まあいいか。
こんな不器用な、でも本当はすごく優しいところが、やっぱり私、大好きだし。
膝の上の横顔を見つめながら、小さな笑みが自然と溢れていた。
fin.
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melty / りりー〈request〉→←それは違う / りりー
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えむ(プロフ) - HanNAさん» こちらこそいつもありがとう☆また来年もよろしくです！！ (2021年12月31日 8時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
HanNA(プロフ) - えむちゃん、いつも素敵なお話ありがとうございます！よいお年をお迎えくださいー (2021年12月29日 1時) (レス) @page26 id: ea9d2e9102 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - みかみかさん» コメントありがとうございます☆あー、良かったですー。喜んでいただけて、ほっとしました^_^ いろいろ想像しながら書くのが楽しかったです☆こちらこそ良い機会をありがとうございました。是非またどうぞです☆ (2021年11月6日 20時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
みかみか - 早速読ませていただきました！！もう最高でした！キュンどころじゃないですズッキュン心ぶち抜かれました（笑）えむさんの言葉選びほんとに好きです！素敵なお話ありがとうございました(T▽T) (2021年11月6日 6時) (レス) id: b0f25e0f76 (このIDを非表示/違反報告)
みかみか - えむさん» はい！もちろんゆっくりで大丈夫です！読んだ後感想も書かせて頂きます！素敵な作品お待ちしてます！ (2021年11月1日 23時) (レス) id: b0f25e0f76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年9月19日 22時
