ジレンマ / みずた ページ12
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久しぶりに気になる子ができたんだけど、その子はどちらかというと、川西寄りで。
まあ、俺にも好意的ではあるんだけど？
好意的ではあるんだけど、話の節々に嫌な雰囲気を感じ取ってしまう。
決して俺を軽視しているわけではないんだけど。でも、やっぱり、何かが違う。俺にはわかる。
目の前に置かれたガラスのプレートからは、真っ白いスモークがもくもくもく。
ふたり用の小さな、でも完璧なデコレーションケーキを真ん中にして、真っ赤な薔薇の花びらが所々にあしらわれている。
まるでお姫様への献上品みたいで、心の中でつい王子になり切っていた。
僕のプリンセス。今夜は素敵な夜にしよう。
「わぁ、すごい！」
とっておきの店で、とっておきのディナーを、Aちゃんと。
知り合ったときからこの店に連れてくることがちょっとした夢でもあって、それを叶えられたことに俺は密かに興奮していた。
何より、この驚いた顔。その後の綻んだ笑顔。
その瞬間を俺がプレゼントできたのだと思うと、この喜びは何にも変え難い。
「誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」
一本だけ灯っていたろうそくをふぅっと吹き消して、夢見るような目でAちゃんはプレートを眺めた。
「まさか水田さんからお祝いしてもらえるなんて」
「ごめんな、俺で」
「え、何でですか？嬉しいです」
ニコニコと俺を見る顔は、とても嘘をついているようには見えない。
嘘かどうかを疑ってしまうのは、自信がないからで、Aちゃんのせいではない。
どこからか湧いてくる余計な考えをどうにかしたくて、ナイフに手を伸ばす。
皿にケーキを取り分けてやると、Aちゃんはぺこりと頭を下げてまた笑った。
新ネタ会議でアイディアを出したのは確かに俺だけど、実際に採用されるのは、本当は嫌だった。
だって、ネタというより、現実に起きていることだから。
あの話はありのまま、最近の俺の私生活とリンクしている。
アイディアならたぶん尽きないと思うけど、それを心から笑えるかどうかは、自分でもよくわからない。
「来週の水曜日やったっけ」
「そうです」
「当日は友達と？」
「はい。大学時代の同期と女子会ですね。もう何年目になるのかなぁ」
楽しそうにケーキをつつく姿に、暗い気持ちなんて忘れてしまえそう。
コーヒーを飲んで話に耳を傾ける俺のことは、少しは大人の男に見てくれるかな。
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えむ(プロフ) - HanNAさん» こちらこそいつもありがとう☆また来年もよろしくです！！ (2021年12月31日 8時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
HanNA(プロフ) - えむちゃん、いつも素敵なお話ありがとうございます！よいお年をお迎えくださいー (2021年12月29日 1時) (レス) @page26 id: ea9d2e9102 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - みかみかさん» コメントありがとうございます☆あー、良かったですー。喜んでいただけて、ほっとしました^_^ いろいろ想像しながら書くのが楽しかったです☆こちらこそ良い機会をありがとうございました。是非またどうぞです☆ (2021年11月6日 20時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
みかみか - 早速読ませていただきました！！もう最高でした！キュンどころじゃないですズッキュン心ぶち抜かれました（笑）えむさんの言葉選びほんとに好きです！素敵なお話ありがとうございました(T▽T) (2021年11月6日 6時) (レス) id: b0f25e0f76 (このIDを非表示/違反報告)
みかみか - えむさん» はい！もちろんゆっくりで大丈夫です！読んだ後感想も書かせて頂きます！素敵な作品お待ちしてます！ (2021年11月1日 23時) (レス) id: b0f25e0f76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年9月19日 22時
