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もう、どうせこうなるのなら最初から強がらなくてもいいのに。
「私のことは気にしないで」なんて、言わなきゃいいのに。
きっと、ちょっとのわがままのつもりが、引っ込みがつかなくなって行き場を失っているのだろう。
そう思うと、なんだか可笑しくて、笑ってしまう。
これ、家出している意味ある？
(...ふふ。かわい)
思わず、腕時計をそっと撫でた。
Aとお揃いの。
わがままって、苦手なはずだったのになぁ。
Aだったら、それさえもかわいく思えてしまう。
なんでも許してしまう。
今までの俺は、Aに変えられてしまったんだ。
早く迎えに行きたい。
すごく、すごく。
明日なんて、遠すぎる。
「賢志郎さん？」
不意に、横からリリーに声をかけられた。
「何ひとりでにやけてんすか？」
はっとして、咄嗟に咳払いをしてごまかした。
「あー、うん。なんでもない」
リリーは俺の手元にあるスマホを目に止めて言う。
「彼女さんすか？」
「なんでもないよ」
「なんか楽しそうっすね」
「いやいや」
残っていたビールを飲み干して、スマホをバッグに突っ込んだ。
その流れで反対側に座っていた後輩に話しかけて、リリーとの会話をなんとか振り切った。
誰かが呼んだ店員がオーダーを取りにやってきて、誰かが放った「ビールひとつ」の声に「俺も」と手を挙げて。
他には何も考えていない風を装って、あくまでただの酔っ払いになったつもりで、この場に溶け込む努力をした。
本当は早くホテルに帰って眠ってしまいたいところだったけれど。
これも仕事のうち。
そう言い聞かせて、今はただ、流れる時間に身を任せるのみ。
明日になったらAに会える。
それだけを楽しみに、何だって頑張れそうな気がした。
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えむ(プロフ) - ゆずさん» ゆず様、ありがとうございます☆また遊びに来てくださいね。よろしくお願いします^_^ (2021年3月19日 21時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 毎回楽しく読ませて頂きました！#2も楽しみにしていますね！ (2021年3月19日 10時) (レス) id: f338c2e715 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - ゆずさん» ゆず様、コメント嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年3月8日 23時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 毎回楽しみに読ませてもらっています。これからどうなるか…楽しみです^_^ (2021年3月8日 17時) (レス) id: f338c2e715 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年2月28日 21時
