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「...Aちゃんから聞いとらんかったん？」
きっとそうに違いない、と思いつつ聞くと、賢志郎は頷いて言った。
「昨日は帰ったらもう寝てたし、今朝は俺が早く出たから...」
「すれ違いで話す時間もなかったんやな」
「それにしたって、電話なりメールなり...なんか方法なかったんかな。俺に報告する方法」
振り子が困惑から怒りに変わっていた。
賢志郎の表情がそう言っていた。
内容も内容だし、Aちゃんもきっと直接会う時間がなくては話しづらかったのだろうと想像できた。
何も聞かされていなかったことがショックなのはよくわかるけれど、そのことで賢志郎にAちゃんを怒ってほしくはないし、まあ、怒るとも思えない。
かといって、怒りは簡単におさまるような感じもない。
賢志郎のこんなにも打ちのめされている姿を見るのには慣れていなくて、俺は自然となだめる口調になってしまう。
「でもまあ、無事やったんやし」
「そうやけど。...なんか腹立ってきた。なんで俺に連絡せえへんねん」
「今日言うつもりやったんちゃう？少し早いやん、終わるの」
「そやけど。なんで嫁がそんなことなってんのに、旦那の俺がなんも知らんねん」
もはや俺の慰めなんて聞こえているのかどうか。
賢志郎は心底悔しそうに言った。
「Aになんかあったら...俺どうしたらええねん。どやって守ってやったらええねん。
なんかもー...情けないわ」
呟いたその切ない顔を見て、改めて思う。
大事に思うからこそ湧いてくる怒りもある。
それはたぶん、めいっぱいの愛情と、同じくらいの分量の"責任"みたいなものから生まれる感情なのだろう。
もう、好きとか、その程度のことでは片づけられない関係だから。
恋人よりももっと近い、"家族"になったのだから。
「けんしろーって、ほんまに旦那さんなんやなぁ」
「なに今更」
「とにかくなんもなくて良かったな」
「...心臓止まるか思ったわ」
戸惑ったり、怒ったり、ホッとしたり。
こんなに忙しい賢志郎はそう見られるものじゃないから、もう少し見ていたい気もするけれど。
これ以上この話題を引きずっていては仕事に影響しそうだから、敢えて明るく言ってみた。
「はい、じゃあ切り替えてこ」
「...あい」
その日の仕事は俺の心配をよそに難なく終わり、さすがは賢志郎だと思わずにはいられなかった。
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えむ(プロフ) - ゆずさん» ゆず様、ありがとうございます☆また遊びに来てくださいね。よろしくお願いします^_^ (2021年3月19日 21時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 毎回楽しく読ませて頂きました！#2も楽しみにしていますね！ (2021年3月19日 10時) (レス) id: f338c2e715 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - ゆずさん» ゆず様、コメント嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年3月8日 23時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 毎回楽しみに読ませてもらっています。これからどうなるか…楽しみです^_^ (2021年3月8日 17時) (レス) id: f338c2e715 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年2月28日 21時
