Orangette 9 ページ9
「康二？」
「もっと。」
「え？」
「もっと食べたい。」
「あとは自分で食べて。」
「俺だけじゃ食べられへんねん。」
「はい？」
向井はオレンジ色の箱をソファの端にそっと置くと
Aの手首を引いて、ぐっと顔を近付けた。
唇の触れそうなその距離にAが目を丸くする。
「お菓子、ホンマ、ありがとな？」
何なら、唇の先が触れている。
向井は囁くように潜めた声で、再度お礼の言葉を口にして、それからゆっくりとAの唇と唇を合わせた。
「…っ？！」
「お菓子も嬉しいんやけど。
さっき、寂しいって顔したAさんが、
ホンマ可愛くてな？」
驚きに言葉を失くすAの下唇を向井はゆっくりと食む。いつの間にか、もう片方の手はAの後頭部に添えられて、その逃げ道を奪っていた。
「ずーっと、ここ、食べるの我慢しとってん。」
「なっ…気付いて」
「そりゃ、気付くよ。好きな人やもん。
あんなんからかっただけ。」
今度は抗議の言葉を上げようとしたAの上唇を軽く噛んで笑う向井に、いつもの陽気な雰囲気も
さっきまでの可愛らしい雰囲気もなく、Aはただ向井のなすがままに唇を柔く噛まれて、ぎゅっと目を閉じる。
閉した視界の先で、向井が喉で笑う声が聞こえた。
「今、目ぇ、つぶったらあかんやろ。」
Aが目を開ける前に、また唇に柔らかな感触。
「それとも、Aさんも俺のこと食べたいって
思ってくれてたりして？」
喋る合間にキスをするのか、
キスの合間に喋るのか。
普段とは違って、ゆっくりとしたスピードで話す向井の顔を、今はまともに見れそうにもない。
けれど、それが何だか悔しくて、Aは薄らと開けた目を逸らしながら、オレンジとチョコの味がする向井の唇をぺろりと舐めた。
「っっ！」
「…私も食べたい、って言ったら？」
今度は向井が目を丸くする番。
けれどAはその驚いた顔を長く見ることは叶わず、気付けば向井に抱き締められて、押し倒されたソファに置かれたオレンジの箱に頭をぶつけていた。
「そんなん、嫌って程食べさせちゃる！！
返品はあかんからな！」
そこから降り注ぐ、向井からの甘いキスの雨に
Aは幸せそうに笑みを浮かべた。
fin.
終わり
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マコト(プロフ) - え!!?!? オランジェット苦手なんですか?Σ(ﾟДﾟ) あんなに可愛らしいストーリーを紡いでくださったのに^^; 私はレモンピールやグレープフルーツピールのチョコレート掛けも大好きです♪←無駄な情報 (2月16日 17時) (
レス) id: 777d8311f2 (このIDを非表示/違反報告)
Y.Harumizu(プロフ) - マコトさん» いつもありがとうございます〜！やはり彼には甘くてオレンジだろう〜！となったら、めっちゃ甘くなりました（笑）そして私はオランジェット食べれない人です(*´ー｀*)見るのは好きなんですけど（笑） (2月16日 17時) (レス) id: 245b47ec32 (このIDを非表示/違反報告)
マコト(プロフ) - うわーい!オランジェット大好きヽ(=´▽`=)ﾉ 可愛らしい橙様、ありがとうございました!! (2月16日 2時) (レス) @page9 id: 777d8311f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Y.Harumizu
| 作者ホームページ：http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時：2024年2月15日 22時
