Orangette 7 ページ7
「貰ってくれる?」
「当たり前やんか!俺しか貰ったらあかんやつ!」
「まさに今康二が潰しちゃってるかもしれなくても?」
「えっ?!ああぁ!俺のチョコ無事か?!」
勢い良く体を離して、Aの手の中を確認する姿が可笑しくて、可愛くて愛おしい。
自分から手を伸ばすのは気が引けるのか、向井は心配そうにAの手の中のオレンジの箱を右から左から見ながら、大丈夫か?とチョコレートに問うている。
そんなチョコレートの代わりに、Aが返事をする。
「角はちょっと曲がっちゃったかもだけど。
中身は大丈夫だと思う。
…はい、改めて、これ、バレンタイン。」
そう言って、オレンジの箱を向井に差し出すと、向井は眉尻を思い切り下げて、そっとその箱を受け取る。
ふにゃふにゃになった口角が、その嬉しさを顕著に語る。
「へ、へへっ、ありがとう。ホンマ嬉しい。
来月、期待しとってな?
なあ、これ開けていい?
リボン解くん勿体無いけど、中見たい。」
「勿論、どうぞ。」
「ぉっしゃ!あ、何これめっちゃお洒落!
オレンジにチョコかかっとる!半分だけ!!」
「オランジェットっていうお菓子なの。」
「うわー!名前もお洒落!ありがとう!!
ええー、こんなん食べるの勿体無いわ、うわあ。
キラキラしとる。」
昨今、珍しくもないだろうフランス発祥のそのお菓子に、向井はきらきらと瞳を輝かせる。
触れるのすら勿体ないと思うのか、箱ごと掲げて
綺麗に並んだオランジェットを眺めている。
ふわりと、柑橘の香りが香る。
「めっちゃええ匂い。Aさんは
これ食べたことあるん?Aさんはこれ好き?」
「試食で頂いたわ。私は好きな味だったから、
康二の口にも合うといいな。」
「合う合う、もう食べんでも分かる!
Aさんが選んでくれたのに、合わんわけないやん!
あ、コーヒー淹れてこよかな。
いや、こう言う時は紅茶か?どっちも入れる?」
大切そうに一度箱の蓋を閉めた向井が、腰を半分上げるのを、Aが咄嗟に服の裾を引いて止める。
完全に意識をチョコに向けた向井が、
急に離れそうになる向井が、ほんの少しだけ寂しかった。
向井が瞬く。
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マコト(プロフ) - え!!?!? オランジェット苦手なんですか?Σ(゚Д゚) あんなに可愛らしいストーリーを紡いでくださったのに^^; 私はレモンピールやグレープフルーツピールのチョコレート掛けも大好きです♪←無駄な情報 (2月16日 17時) (レス) id: 777d8311f2 (このIDを非表示/違反報告)
Y.Harumizu(プロフ) - マコトさん» いつもありがとうございます〜!やはり彼には甘くてオレンジだろう〜!となったら、めっちゃ甘くなりました(笑)そして私はオランジェット食べれない人です(*´ー`*)見るのは好きなんですけど(笑) (2月16日 17時) (レス) id: 245b47ec32 (このIDを非表示/違反報告)
マコト(プロフ) - うわーい!オランジェット大好きヽ(=´▽`=)ノ 可愛らしい橙様、ありがとうございました!! (2月16日 2時) (レス) @page9 id: 777d8311f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Y.Harumizu | 作者ホームページ:http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時:2024年2月15日 22時