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Orangette 6 ページ6

Aが向井から体を離すと、その髪をそっと撫でて向井も体を離す。
その日初めて、Aがようやく落ち着いて見れた向井の目の縁は少し赤かった。

その目の端を撫でてからAが立ち上がる。

「あれ、取ってくる。」
「お、おん。」

テーブルから箱を持って戻ってくると、Aは向井の隣に腰を下ろし、また小さく溜息を吐いた。

「変な空気にしちゃってごめんなさい。
 置いて帰ろうか、今度会う時にしようか
 悩んでる時に康二が帰ってきたから、
 変に焦っちゃって。」
「俺こそ、なんや情け無いこと言うてごめん。
 それ、そんな、その、重大な物なん?」

そわそわと両手の指先を動かしながら、決して大きくはないオレンジの箱とAの顔を交互に見ながら問う。
いかにも待ちきれないといった向井のその様子に、Aは小さく笑う。

「ううん。全然大した物じゃないの。」
「そうなん?」
「そう。まあ一応、日本では季節限定販売のお店では
 あるんだけど。」
「季節限定?食べ物?…あ。」

そこまで言って、初めて向井は気付いたのか、
目をまん丸にしてAの顔を凝視する。

「え?あ、え?嘘、まさか?」
「……本当にね。そのまさかですよ。」
「や、だって、落ち着いたらって
 Aさん言うてたやん。」
「そのつもりだったの。ほんとっわ、康二っ?!」

向井が突然Aのことを抱き締めるから、Aの言葉は途中で向井の胸の中に消えた。

「大した物過ぎるやろ!!!
 それチョコってことやろ?バレンタインの!」
「ま、まあ。」
「本命やろ?!」
「…う、うん…。」
「重大な物!!めっっちゃ大事なもの!!!」

その大事で重大な物は、今にも向井とAの体に挟まれて潰れそうだが、興奮気味の向井の声にAは思わず笑い声を零す。

Aの中に先程まであった、
わざわざ渡す程の物じゃないなんて気持ちも、
妙な羞恥心も、向井の嬉々とした声音に全てが溶けていってしまった。

「そう言ってくれてありがとう。」
「こっちがありがとうや!
 めっちゃ嬉しい!バレンタインはお預けかって
 思っとったから、ホンマ嬉しい!!」

硬めの紙箱で良かった、と思ってしまう程のハグ。
それが嬉しくて、Aは笑みを深くする。

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設定タグ:向井康二 , SnowMan , snowman   
作品ジャンル:タレント
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マコト(プロフ) - え!!?!? オランジェット苦手なんですか?Σ(゚Д゚) あんなに可愛らしいストーリーを紡いでくださったのに^^; 私はレモンピールやグレープフルーツピールのチョコレート掛けも大好きです♪←無駄な情報 (2月16日 17時) (レス) id: 777d8311f2 (このIDを非表示/違反報告)
Y.Harumizu(プロフ) - マコトさん» いつもありがとうございます〜!やはり彼には甘くてオレンジだろう〜!となったら、めっちゃ甘くなりました(笑)そして私はオランジェット食べれない人です(*´ー`*)見るのは好きなんですけど(笑) (2月16日 17時) (レス) id: 245b47ec32 (このIDを非表示/違反報告)
マコト(プロフ) - うわーい!オランジェット大好きヽ(=´▽`=)ノ 可愛らしい橙様、ありがとうございました!! (2月16日 2時) (レス) @page9 id: 777d8311f2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Y.Harumizu | 作者ホームページ:http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/  
作成日時:2024年2月15日 22時

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