Everlasting flowers 6 ページ6
「Aさんさあ。」
「うん。」
「気を付けてね？」
「うん？何を？」
「男って単純だし、馬鹿だし、チョロいの。」
「うーん？」
水滴の無くなった頬に手を当てて、阿部の親指がその頬を撫でる。
くすぐったいのか、肩を竦めるAに、ふ、とまた阿部が笑う。
「だから、寝起きのちょっと甘い感じの声聞いたら
寝起きってどんな感じなのかな？って想像するし
警戒心なしに目を閉じられたら
キスして良いのかな？って思うの。」
「……えー……？」
阿部の親指の先が、つ、とAの下唇の縁を辿る。
不可解そうに少し眉根を寄せたAが
唇を撫でられて、ぴくと体を震わせた。
「えー、じゃないの。そういうもんなの。
だから、気を付けてね？」
「気を付けろと言われても。」
阿部の手を外させて、Aが悩み顔で腕組みをする。
「寝起きの声出すのも、警戒せずに目を閉じるのも
亮平くんの前だけのはずなんだけど。」
ちょっと今回イレギュラーはあったけど、と片手を頬に当てて小首を傾げたAが阿部を見上げる。
「わたし、気を付けちゃって大丈夫？
かなり、ガード厳しいタイプの女だけど。」
そう言って瞬きしたAの瞳は笑みに細まり
頬に当てている手の小指が、唇の端に当たる様が、今二人が居るキッチンとミスマッチ過ぎて
ぞわ、と阿部の肌が粟立った。
「…俺は別でしょ。」
「亮平くんは男の人じゃないの？」
「男だけど！」
くすくすと笑いながら、料理を再開しようとするAに完全にペースを持って行かれているのが面白くなくて、Aがつけたばかりのコンロの火を消すと
阿部はそのまま後ろからAの腰に手を回す。
「こういうのも警戒しなきゃだ？」
そう言って、未だ笑いながら阿部の手を外させようとするAに、阿部は腕に力を込めて抵抗する。
「だからー、俺は別でしょ。」
「男の人なのに。」
「男だけど、…特別枠でしょ、俺は。」
「特別枠。」
「Aさんが、唯一安心して良い男なの。」
「そうなの？」
「そうですよ？」
阿部の胸に背中を預けて、Aが顎を上げる形で阿部を見上げると、その前髪がさらりと、分かれて額が丸見えになる。
普段は前髪で隠れている、生え際に、よくよく見ないと気付けないような、小さなホクロがあることを
知っている人間はそう多くないはずだ。
少なくとも佐久間は知らなくて、想像だってしないだろう。
それでいい。
それがいい。
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Y.Harumizu(プロフ) - マコトさん» 狙ったわけじゃ無いんですが、まさかのタイミング被りでした（笑）幸せなのが最高ですよね🥰桃様も、また甘々なやつ書いていこうと思います💕 (6月23日 0時) (
レス) id: 3d23a8217f (このIDを非表示/違反報告)
マコト(プロフ) - 公式で「ミッドナイトトレンディ」が公開された日にこのお話。ここまでのストーリーを思い出してグッときました｡同時に桃様のストーリーも思い出して勝手に感慨深くなった私です。いつも素敵なお話しをありがとうございますヽ(=´▽`=)ﾉ (6月22日 11時) (レス) id: f6a74c2234 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Y.Harumizu
| 作者ホームページ：http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時：2023年6月21日 19時
