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Everlasting flowers 1 ページ1

本のページを捲る音がいつの間にか止まっていることに気付いて、阿部は後ろを振り返る。
勉強用に使っている椅子が、きしりと小さな音を立てた。

阿部が振り向いた先にあるソファの背から見える
Aの後頭部は斜めに傾いていて動かない。

阿部は手にしていたペンを静かにノートの上に置くと、ソファにそっと寄って、ソファの後ろからAを覗き込んだ。
阿部の予想通り、Aの目は閉じられて
少し開いた口元からは小さな寝息だけが聞こえてくる。
Aの手にある本は開かれたまま、半分以上ズリ落ちて彼女の膝の上で、辛うじて落ちるのを免れていた。

阿部はそんなAの姿に小さく笑うと
彼女の手から本を救出して
彼女が愛用している透かし模様の入った金色の栞を
開かれたページに挟んで本を閉じると、テーブルに置いた。

その間もAが起きる気配はなく
口元にかかったAの髪を指で摘んで外した。

時計を見れば、夕飯にはまだ早い時間で
すっかり暖かくなった今の時期なら
このまま暫く眠らせてあげるのも良いかもしれない。
阿部は寝室からタオル地のブランケットを持ってくると、Aを起こさないように
そっとその体にかけて、思わず、顔を綻ばせる。

想い人が自分の前で無防備でいる事が
くすぐったくて、嬉しい。

気付くと、Aのこめかみに
小さなリップ音を立てて唇を当てていた。

こんなこと、普段なら羞恥心が勝って出来ないのに。
Aが寝ているから、Aが可愛いから、つい。

急に1人で恥ずかしくなって
誰に見られているわけでもないのに
自分で自分にそんな言い訳をしながら、阿部はそっとAから離れた。

ちょうどそのタイミングで
スマホから振動音がして、慌ててスマホを机から持ち上げる。

届いていたのは佐久間からのメッセージで
2時間くらいゲームをしないか、と言うお誘いだった。

阿部はちらりと眠るAを見てから
2時間ならちょうど良いかと、了承の返事をする。
終了予定時刻と一緒に、部屋で佐久間とゲームしてるね、とメッセージを書いた付箋を
Aの読んでいた本の表紙に貼って、阿部は自分のゲーム部屋へ向かった。

Everlasting flowers 2→



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設定タグ:snowman , 阿部亮平 , 恋愛   
作品ジャンル:タレント
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Y.Harumizu(プロフ) - マコトさん» 狙ったわけじゃ無いんですが、まさかのタイミング被りでした(笑)幸せなのが最高ですよね🥰桃様も、また甘々なやつ書いていこうと思います💕 (6月23日 0時) (レス) id: 3d23a8217f (このIDを非表示/違反報告)
マコト(プロフ) - 公式で「ミッドナイトトレンディ」が公開された日にこのお話。ここまでのストーリーを思い出してグッときました。同時に桃様のストーリーも思い出して勝手に感慨深くなった私です。いつも素敵なお話しをありがとうございますヽ(=´▽`=)ノ (6月22日 11時) (レス) id: f6a74c2234 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Y.Harumizu | 作者ホームページ:http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/  
作成日時:2023年6月21日 19時

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