先生 ページ50
？「どう？大丈夫？」
「…ん？何とも……う"っ"」
手足が痺れ、体が熱く火照る
「う"ぅ"ぅ"ぁ"ぁ"……あ"あ"」
？「これは…」
呼吸が苦しい、息が吸えない
「はぁ…はぁ………はぁ…」
震える手で口元を触る
「牙……」
爪は長く鋭く、視界は真っ赤に染る
「はぁ…はぁ…は…ぁ…」
？「完全な吸血鬼になったみたいだね」
「……俺不気味に見える？」
？「そう？俺は思わないけどな」
「そっか……」
？「お前はよく頑張ったよ」
「……！？うぅ……」
嬉しかった、自分を受け入れてくれる人がいてくれたこと
彼の胸の中はクラスの誰よりも温かかった
―――――
？「そう言えばさ名前聞いてなかったね」
「そうやった…」
？「じゃあ俺から…俺は阿部亮平。阿部ちゃんって呼んでいいから」
「ふーん、じゃあ次俺やんな。俺は向井康二。よろしくな阿部ちゃん先生」
阿「阿部ちゃん先生って…笑」
「ちょ…笑わんといてや！！」
阿「いや…可愛いなぁって」
「……んな…！？可愛い？？恥ずかしいやん」
阿「やっと笑った」
「……え？」
阿「会った時から暗い顔してたからどうにか出来ないかなって」
「……先生は優しすぎるて」
阿「そうかな…？」
あぁ、そうや。俺この人について行って良かったのかも
阿「俺も元々人間だったから…康二の気持ちは痛いほどわかるよ」
「ほんまなん！？」
阿「うん…嫌われて殺されて死にかけのところを助けてもらったんだ」
「先生……」
阿「康二に会った時"この子、俺と同じ"って勝手に思っちゃったんだよね…ごめん…」
「なんで謝るんや？」
阿「いや…こんな化け物にさせてしまって……」
「いいって、気にせんでや」
まぁ…確かにこの状態じゃ二度と街には戻れないだろうね
でも…それでもいい
阿「全て終わったら康二を人間に戻す方法探すから」
「人間に戻す…？」
阿「うん、康二は生きている時に吸血鬼になったからきっと戻す方法はある」
「そっか…それは嬉しいな」
でも人間に戻ったら阿部ちゃんと離れないけないんよね
「それでも…たとえ人間に戻ったとしても阿部ちゃんの傍に居ちゃダメ？」
阿「…え？」
「俺阿部ちゃんと一緒に居りたいねん…だめ？」
阿「……！？その時は好きにしたらいいよ」
「ありがとうな」
人間だとか吸血鬼だとかそんなの関係ない。俺は俺の一緒にいたい人と共に生きる
("Bloody・snowは闇夜に狂い咲く"こちらシリーズ3に続きます)
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作者名：雨乃ふあ | 作成日時：2020年7月24日 21時
