ユリ花畑 ページ2
ラウールside
「…あれ？ここどこだっけ」
周りには見た事ない程美しく咲き乱れる花畑が広がっている
？「いっててて…転んじった…」
遠くで誰かが独り言を言っている
「あ…あの、ここで何やってるんですか？」
？「んん…俺？」
いやどう見てもあなたしか他に人がいないじゃないですか！
「そうですけど」
？「俺ねぇ、今花摘んでるんだ。ほら！綺麗でしょ？」
そういって手元の花を見せる
「ユリの花…ですか？」
？「そう。大好きな人に摘んで帰るんだ！てかピンク摘んだけど…やっぱ黄色いの方が似合うと思う？」
この人こんな場所で花なんか摘んで…
なんなんだ一体？？
「いや知らないですよ、それよりここはどこなんですか？」
？「ん…実は俺もよくわかんないんだよね笑」
「えぇ…？」
？「ここにずっといて何人かに話しかけられたんだけどみんなどっか行っちゃって…俺もう悲しいよ」
この人何を言ってるのか分からない。ふわふわしすぎている
？「ところでさー、名前なんて言うの？」
「ラウールです。あなたは？」
？「んーごめん忘れちゃった…へへっ」
そっちから聞いといて忘れたとかある？
「…え？…あれ、何これ」
腕には見覚えのないハンカチが巻かれていた
？「それ…翔太のハンカチじゃん」
翔太…ってさっき会った翔太さん？え？と言うかなんでこの人翔太さんのこと知ってるんだろう
？「翔太はね、優しいんだよ。きっとラウールくんのことも助けて守ってくれる」
「え？え？助ける？守る？どういうことですか！？」
？「そのままの意味だよ。まだ助かると思って信じて手当してくれてるんだよ、そのハンカチが何よりの証拠」
―――――
"これで一命は取り留めたかな…"
地下牢で会った謎の人
捕まっていたのを助けただけなのに…
初対面の人なのに…
どうしてそこまでするのだろう…
"じゃあな、精一杯生きろよ"
―――――
？「お前はまだここに来るべきじゃない」
「…えっ…」
？「ほら来た道を戻れ、早くしないと俺みたいにここを彷徨うことになるぞ」
「は、はい！あっあの…短い間だったけどお世話になりました」
？「おう！お礼ができて偉いぞ。きっとふっかにいい子に育ててもらったんだな。さぁ走れ、ラウール」
「え？…あ、ありがとうお兄さん！」
今確かにふっかさんのこと言ってた気が…
青年は笑顔で手を振って送り出してくれた
"ピンク"のユリが似合いそうな…そんな優しい人だった
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作者名：雨乃ふあ | 作成日時：2020年7月24日 21時
