Bloody・snowは闇夜に狂い咲く2 (ページ1)

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耐え忍ぶページ1

渡辺side

「…揺れがおさまったか？」

あいつは…ラウールはどこだ？
逃げている最中に離れ離れになってしまった

「おい、ラウール！どこだ？いたら返事してくれ」

だけど返事はなくそれどころか

「…まずいな…腹減ってきた」

ずっと牢屋に入れられていて重度の飢餓状態だった

瞳は赤くチラつき、呼吸が早まる

「ダメだ…落ち着け俺、今そんな状況じゃない」

自分を奮い立たせて今来た道を戻る

「無事外に逃げれているといいんだけど…」

ひどく崩れた建物内に希望など見いだせなかった

―――――

しばらくすると鼻につく匂いが漂ってきた

「これは…血だ、誰か出血してるのか！？」

どこだ…？？どこにいるんだ

辺りを見渡すが誰一人いない

「う……うぅ…」

急に足元から誰かの声がした

「待ってろ今助けるからな」

声の聞こえる方を一目散に探す

「ラウール…！！」

そこには瓦礫の下敷きになり怪我をしたラウールが倒れていた

ラ「痛…い……」

「出血がひどい…怪我も多いし…」

ラ「うぅ…はぁ…だっ誰…」

「いいから喋るな、痛みが増すぞ」

持っていたハンカチで傷口を抑える

「はぁ…はぁ…俺吸血鬼だよ？俺の前でこんなに血を流さないでほしいんだけど…空腹もあるし耐えるのキツいって知らない？」

抑えても抑えても止まることを知らず流れ続けている

「ラウール先に謝っておく、ごめん。でもお前を助けるためだ、許してくれ」

深い傷を負っている箇所を舐める

「う"っ…あ"っ…」

忘れかけていた人間の血の味を思い出す

広がる深い鉄の味。若いからか新鮮さもあり体に馴染んでいく

一瞬でそれほどの記憶が蘇る

「はぁ…はぁ…その細い首筋に噛みつきたい…」

これほど本能が暴れ回ったことあっただろうか…
きっとそれほどまで我慢していたのだろう

でも――

"耐えろ"

ここで事態を犯したら奴らの言う化け物になってしまう

理性がまだ残ってたらしく傷口を塞ぎ直ぐに離れた

「これで一命は取り留めたかな…」

ハンカチで固く結び床に横たわらせた

「じゃあな、精一杯生きろよ」

その場をすぐ離れようとした

――コツン―――コツン―

「足音…？」

ブーツの踵と地面がぶつかる音

―コツン―――――――

段々と大きくなり、近づいてきている

――――――コツン

俺の目の前で止まった

？「よぉ、化け物。また会うなんて奇遇だな」