不幸少女は雨模様に躍る (ページ8)

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吸血ページ8

佐「阿部ちゃん……阿部ちゃん！？」

背後で佐久間さんが大声を上げるので慌てて振り返る

「佐久間さん？何かありましたか？」

佐「もうピーク来てんな…我慢しすぎでしょ」

阿「…っ、はぁ、は、はぁ…っ、あ"ぁっ、…」

「阿部さっ……！！！」

そこにはソファに野垂れこみ目を真っ赤に腫らした阿部さん

いや、腫れた真っ赤さじゃない

阿「血ぃ……血ぃ…………喉……渇いた……苦し…い」

真っ赤に染まるその瞳と目が合う

「っ、…！？」

阿「血……早く…」

佐「わかったから落ち着いて…力任せにすると彼女を傷つける」

佐久間さんがゆっくり阿部さんを立たせ私の元へ連れてくる

佐「Aちゃんごめんね、少しだけ痛いの我慢してほしい」

「わかりました…」

前を向き目を瞑った

「っ、あ"っ……あ"ぁ"っ……」

今まで経験したことのない食い込むような鋭い痛み

「、痛っ…い……」

汗と涙が止まらない。全身の体温が冷え切っていく感じ

でも痛かったのはほんの一瞬

その後は噛み跡からじわじわと熱が上がりだす

「あぁ……はぁ、あぁっ…」

穏やかで蕩け出すようなそんな感覚に陥った

ーーーーー
阿部side

「はぁ…はぁ……」

呼吸が苦しい。気道が塞がるようなそんな

彼女が上着を脱ぎ首元が露出する。それで余計甘い匂いが漂って。理性保てない…

「牙……伸びてる…どうしよう」

佐「阿部ちゃん……阿部ちゃん！？」

やってくる佐久間さえきちんと見えない。視界はぼやけ震えが止まらない

「佐…久間、ぁ、…苦し…い」

佐「あぁ、もう大丈夫だから…今来るから待ってて」

それからAさんの元へ連れられ、彼女は後ろを向いた

「あぁ…血ぃ……っ、」

A「っ、あ"っ……あ"ぁ"っ……」

彼女のつんざくそれは悲鳴に近い恐怖の声だった

「んごっ……っ、…！？」

は、早く！！早く麻酔を流さないと、

逆につんざく悲鳴で助かった

忘れないうちに彼女の噛み口に麻酔を打ち、唾液を入れた

吸血中に唾液を入れる。そうすると人間側の痛みは和らぎ彼らは軽い酩酊状態になる

A「んんっ……」

その途端彼女は力が抜け足元から崩れた

佐「あぁっ、Aさん！！」

倒れた彼女を抱き吸う体勢を変えた

いつぶりの鮮血だろうか

俺の命を繋いでくれた彼女には一生かけて償いをしないと、な…

佐「………部ちゃん？」