言えない ページ6
阿部side
「はぁ……っ、…う"ぅっ」
あれから長時間何も口にしていない
それは佐久間も同じはず。なのにどうして俺だけ…
「はぁ…はぁ……、とりあえず、薬…」
ポケットから錠剤を取り出し無造作に口に運ぶ
それからため息を一つ
「………辛い」
未だ喉は渇きを覚え身体は悲鳴をあげたまま
おまけに目の前には甘い香りを放つ少女。今すぐにでも堪能したいほど
「って、何考えているんだ俺は…」
Aさんは命の恩人。そんなひどい仕打ちさせてたまるか
佐「阿部ちゃん…大丈夫？」
「！？…なんだ、佐久間か……びっくりした」
後ろを振り返ると心配そうに見つめる佐久間
佐「ごめん、驚かせる気はなくて…」
「…ううん、平気……」
佐「一旦落ち着いて、ほら深呼吸」
彼も背中を
佐「今回は結構？」
「…わかんない……、…多分」
いつでも冷静を保っていたけど今この状況は理性が爆発しそうで…怖い
佐「そっか…そうだよね」
二人とも黙っちゃって沈黙が続く
佐「ねぇ…Aちゃんに正直に言わない？」
「え……」
佐「だから、状況説明をして頂いたら？って…」
「だめ！！だよ……」
そんなこと言ったら彼女怖がっちゃう。それに嫌われて殺されちゃうかもしれない
佐「でも吸血鬼だってこと知ってるんだから説明すれば…」
「で、でもっ…」
やっとできた俺らを理解してくれそうな子
そんな子にひどいこと…できないよ
佐「これ以上我慢しても身体が辛くなるだけでしょ…」
「俺は……平気、だよ…」
佐「嘘ばっかり。目、紅くなってるから」
「え…そんなこと」
佐「ある。阿部ちゃんの暴走は誰も止められないんだから」
そんな……症状もうそこまで来てるの？
佐「ね、阿部ちゃんどうするの？」
「……わかった」
ーーーーー
「…っ、………」
A「あ、阿部さん…さっきは大丈夫でしたか？」
「………、っ……」
俺が何も言わないせいでAちゃんは不思議そうな顔をする
佐「Aちゃん…阿部ちゃんから何か言いたいことあるんだって」
A「言いたいこと…？」
「あ、えっと……その…」
言えない……"血をください"なんて…
彼女の嫌顔が目に浮かぶ
A「…、どうしたんですか？阿部さん」
にっこりしながら俺の顔を覗き見る
そんな澄んだ目で見ないで…余計辛くなる
「血を……ください…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 337人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨乃ふあ | 作成日時：2021年11月13日 17時
