不幸少女は雨模様に躍る (ページ26)

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〈※〉青story 2 ページ26

山賊「これでいいんすよね」

山賊親「それだ。いちいち聞いてくんな」

山賊「んーじゃあ、やめてもらっていいすか？」

山賊親「…は？」

厚上着を脱いだ奴はいつか見たことのある彼だった

え…っ、…渡辺…さん！？

渡「お前さ、か弱い女の子に何してんの？」

唖然とした山賊達を蹴散らすかのように間に割って入る

山賊親「は、はぁっ！？一体どうなってやがる」

渡「簡単なこと。俺があんたの手下のフリをしていたってだけ」

山賊親「なっ、なんたる失態…！！俺としたことが」

渡「おーい、A大丈夫か？」

っ…！！

声を出したいけど未だ誰かの掌で塞がれたままだ

山賊親「貴様っ！！獲物に手を出すんじゃねぇ」

渡「おっと…」

山賊親「野郎ども！！こいつを滅多刺しにしちまいな」

山賊達「うぉぉぉぉりゃぁぁぁ！！！」

後から後からわんさか溢れてくる山賊達

こんな数いるなんて聞いてない

渡「めんどくさいなぁ…なに、相手してほしいの？」

山賊親「無論。貴様を地獄の底に叩き潰してやらぁ」

渡「言っとくけど俺強いからな」

山賊親「強いったって所詮ガキだ！！俺らにゃかなわねぇ」

荒くれ者たちの怒号が響き渡る

渡「…ったく、Aを助けなきゃこんな面倒なことにはならなかったのに」

「…！？」

えぇっ！！ひどいっ、そういうことは思ってても言わないって……

山賊達「おりゃぁーー！！ぶっ潰せぇっ！！」

ーーーーー

渡「はぁ、…これで全部？」

山賊親「な、なんだと…あの大群をこんな短時間で」

渡「んだから言ったろ、強いって」

すごい光景を目の当たりにした。いやだって、一瞬の出来事すぎて

渡辺さんって見かけによらず強いのね

山賊親「くっ……ならこれでどうだ！！」

「んっは…っ、」

渡「Aっ！！」

山賊の束縛から離れたかと思ったら親分の手に渡った

高所から辺りを見渡し震えと怯えを覚える

山賊親「それ以上近づいてみな、こいつを殺す」

ひっ！！こ、殺す！？今、殺すって言いませんでしたか？？えっ、えっ…

渡「待て、早まるな。そいつだけは」

山賊親「んがぁっはっはっはっ、そう庇う気持ちもわかるぞ。そこでだ、取引をしようじゃないか」

渡「何？取引…だと」

山賊親「貴様が殺されるかこの女が死ぬか」

「ダメ待ってください！！渡辺さんを巻き込まないであげて…」

山賊親「女は黙ってろ！！」

首を掴まれ意識朦朧と差し掛かる

渡「わ、わかった…交渉に応じるよ」