不幸少女は雨模様に躍る (ページ25)

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〈※〉青story ページ25

Aside

「…あれ、」

渡「ん？何」

二人がやってきて数日経った日のこと

リビングに向かうと部屋には渡辺さんしかいなかった

「…他のみなさんは」

渡「さぁ？みんな自由だからな」

「そう…ですか」

そっか…んー、どうしようかなぁ

渡「何、なんかあった？」

「え、いや…ちょっとお庭の手入れをしようかなぁって」

渡「ふーん。してくれば？家にいてやるよ」

「留守にするのもあれだったので助かります。じゃあ行ってきますね」

数ヶ月放置していた庭園の薔薇

そろそろ手入れをしないといけないなぁって。相変わらず急なんだけど

「わぁー、今日も綺麗に咲いてる」

赤色に黄色にピンク色、まるで打ち上げ花火のような儚さ

「嬉しい…よかった、咲いてくれて」

？「ねぇ、お嬢ちゃーん…俺らと遊ばね？」

「へ？」

振り返ると沢山の知らない男たちが辺りを囲んでいた

「だ、誰ですか…あなた方」

？「んなこたぁーどうだっていいさ」

「ど、どうでもいいって…」

もしかして不審者では…あるいは変質者か

「ここは私の家の敷地です。帰ってください」

？「あらぁ、冷たいわねあなた」

？「お嬢ちゃんだからって手加減しねぇぞゴラァッ」

「っ、……！！」

乱れた髪の毛と無精髭、おまけに汚れた服装

おそらくあれは山賊。最近山を荒らしてきたとニュースで聞いていたが…

山に近いこの屋敷も一対象として見られていたっぽい

山賊「おいおい…逃げんなよ、可愛い子ちゃーん」

「やだ、来ないでくださいっ」

あんな奴らに捕まったら私…っ

…確実に売られる！！

山賊「可愛いなぁ、売り物にもってこいだな親分！！」

山賊親「あぁ。たんまりこしらえて…くくく」

「何するんですか！！離してくださいっ」

だが、体力差。とうとう大男に掴まってしまった

山賊「おーい、素直になりゃ痛くしねーって笑」

「嫌ぁっ、離してっ、」

山賊「ちょこまか動く女だな…鬱陶しい」

「んんっ、んっ、…！！」

口元を押さえつけられ助けが呼べない

苦し紛れの足元はジタバタ暴れ回り、植えた薔薇が散っていった

山賊親「おーい、商品に傷だけはつけんなよ」

山賊「わーかってますって」

「んっ……、…」

涙が溢れる

どうして私、こんな目に……嫌、嫌だ…売られるなんて

山賊「泣き出しちゃったよぉ〜親分んー」

山賊親「いちいち騒ぐな。睡眠薬でも飲ませとけ」

" あぁ…私死ぬんだ "

錠剤を手にした若い山賊が目の前に立った