不幸少女は雨模様に躍る (ページ16)

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〈 II 〉森の中の襲来者ページ16

Aside

佐久間さんと阿部さんと暮らして何週間か経った頃だった

佐「ねぇ〜Aちゃん…本当に行くの？」

「うん…まぁ、」

阿「あの森一人じゃ危なくない？何が起こるかわからないよ…」

「んー、そう言われましても…」

今日は少しばかり用事で森方面に向かわないといけなかった

佐「俺は心配だよ…昨日まであんよしてたAちゃんが一人で出かけるだなんて」

えぇ…あんよっていつの話〜！！よくわかんないって

阿「心配だけど用事なら仕方ないよ。夕方までには戻ってきてね」

「はい。それなら大丈夫ですから！！」

私は勢いよく家を飛び出した

「二人ともすっかり慣れちゃったのかなぁ…」

最初は遠慮がちだったのに今じゃあんなに大袈裟

でも心配してくれるのは嬉しいよね

数週間一緒に過ごすうちに二人とも私に対して過保護になってしまったみたいです

「えーっと、確か…うん、こっちのはず…」

なかなか森の中に入らないから道に迷っちゃうかと思ったけど…なんとか辿り着けーーー

「っ！？んんっ」

何！？口元を抑えられて声を出せない

？「うるせぇ…黙れよ」

真昼間の森の中で何者かに拉致されたこと、二人は到底知る由もなかった

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阿部side

佐「……Aちゃん遅くない？いつになったら帰ってくるんだろう」

「だよね…もう夕方だし」

日の落ちる時間。これだけ経って戻ってこないのは流石におかしい

「そろそろ太陽も落ちる。佐久間、捜しに行かない？」

佐「だな、だいぶ心配になってきたし」

「森方面は…道わかるでしょ？」

佐「任せて」

こうしてAちゃんを捜すため森へ急いだ

佐「おぉーいAちゃーん」

「Aちゃん！！返事してーっ」

捜し始めて数分。違和感が確信に変わった

「本当にどこいって……って、この……」

佐「え…何どうした？」

徐(おもむろ)に匂いを嗅いだ後口元を抑えた

佐「こ、これって！！」

「間違いない…Aちゃんの…」

不意に森に漂ってきたこの甘い香り、間違いなくAちゃんのものだ

だって俺たちがご主人の匂いを間違えるはずない

佐「漂うってことは怪我……」

「してるかもしれない」

佐「っ！！どこにいるんだ…早く向かわないと」

視覚を使い全感覚を研ぎ澄ました

佐・阿「…南の方向！！」

佐久間と意見が合致。おそらく間違いない

佐「印が色濃い時で助かったな」

「そうだね…何か嫌な予感がする、急ごう」