ルームサービス ページ10
あつい・・・のど渇いた、と目が覚めると、ジュノがもう戻っていた。
「目、覚めた？」
「うん、のど渇いた」
「痛みは？」
「もう・・・大丈夫。お腹空いた」
「何か、ルームサービスでも頼む？」
「うん、カツカレー、食べたい」
「ん」
ジュノが電話をかけ、注文すると。
「あー、すみません。
・・・豆腐の豆乳スープと、茶碗蒸し、お願いします。
はい、ひとつずつ。お願いします」
「カツカレーって言ったのに！」
「あ？消化にいいものにしろよ」
別にカツカレーが食べたかったわけじゃない。
きっと私が何を言っても、勝手に注文するんだろうなーと
思ったから。適当なものを、言っただけ。
ジュノが私の機嫌をとるように
後ろから抱き締め、笑いながら言う。
「前にさー、オレが二日酔いのとき作ってくれたやつあっただろ」
「350ｃｃのビール缶を飲み干せなくて、気分悪いって言った時？」
「・・・よく覚えてるな。
そう、あの時の豆腐とご飯の料理」
「・・・うずみ豆腐」
「そんな名前だったっけ。あれ、おいしかった。また作ってよ」
「私が作った絶妙なダシに、キムチを入れて台無しにしたくせに」
「色が薄いから味ないのかなーと思ったんだよ」
「和食でオレンジ色なのは人参くらいよ！」
「明日、終わったら、しばらく会えないかもしれない。
少なくとも、オレ、当分日本へは来れないからさ。
機嫌なおせよ」
「・・・来月のソウルコンまでには、一度行ってもいい？」
「うん、体調よくなったらオレに会いに来て」
ジュノの体温で身体を温められ、
優しい声が私の心を鎮めてくれる。
いつも、ジュノは私を和らげる。
ジュノが居ない世界なんて、考えられないのに
いつまで続くんだろう、という想いも、どこかに、ある。
「はい、薬飲めよ」
「ありがと」
ルームサービスの料理を食べ、薬を飲んだ。
忙しいジュノが、仕事とはいえ日本へ来て
会える機会なのに、ちょっとぐらいの忙しさで
体調を崩した自分が情けない。
「身体、温める？お風呂のお湯、いれたけど」
「うん、一緒に。入ろ」
・
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年4月24日 11時
