雨のあと（ジュノ） ページ30
オレよりはるかに濡れてるヌナが、いつもより小さく感じた。
オレは歩きながら、ヌナに話しかけた。
「・・・いつも、ありがとう。感謝、してる。
ファンにはありがとうってよく言うけど、スタッフにはあまり
あらためて言う機会、ないから、さ。
ステージに立てること、スムーズに活動できること、全て
ヌナたちのおかげだって、ちゃんと、心にはあるんだ。
今だって・・・オレのためにヌナ、雨にぬれたり、さ。
本当に、ありがとう。感謝してる」
前を向いたまま、言葉を続けた。
ヌナがどんな顔をしてるか、わからない。
「これからも、よろしく」
「うん」
クンヒョンがタオルを持って、待っていてくれた。
オレと、ヌナの分。
そして、奥にいるチャンソンに、声をかけた。
「ごめん、待たせて」
「ううん、大丈夫？・・・ぬれなかった？」
「うん、今、あまり降ってないし」
「さ、帰ろっか」
「うん。今から帰って、事務所で打ち合わせかー」
「オレ、車で寝ようっと」
「あー、オレも。けっこう眠い」
事務所へ戻る車の中、チャンソンは爆睡し、隣に座った
クンヒョンは、携帯で何かを見ている。
オレもさっきの続き、Aに返信しよう。
＞オレが一生寝ないってことは
＞お前も寝かさないよ？
＞＞いやん(//▽//)
・・・なんだその顔文字。
＞今度会った時、覚悟しとけよ
＞＞いやん(ノ∀＼*)キャ
可愛いヤツ。
「ジュノ、なに笑ってんの」
「え？オレ、笑ってた？」
「うん。ニヤニヤしてた」
「Aが、変な顔文字送ってきたから」
「ふーん、ヌナ、可愛いな」
クンヒョンに内容は言えない。
詳しく言うと、Aに絶対怒られる。
「あ、そうだ。さっきタオル、ありがとう」
「ああ、うん」
「オレは全然ぬれてないんだけど。
ヌナ、大丈夫かな」
「うん」
「さっき・・・さ。ヌナにありがとうって言ったんだよ。
感謝してるって」
「え？」
「ヌナは服や靴を濡らしたくないんだって言ってたけど。
オレのために自分は濡れて、傘や洋服とりに行ってくれたりして。
オレ、スタッフとしてすっごく感謝してるんだ。
でも」
「でも？」
「ひどい言い方だけど。
オレにはスタッフとしか、思えない。
スタッフ以上には、思えないから」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 249人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミイ
| 作成日時：2015年4月24日 11時
