雨１（ジュノ） ページ28
映画の撮影も忙しくなり、カムバ活動、媒体の撮影
コンサートリハーサルと仕事が重なり、ここ数日宿舎で寝る時間もない。
帰っても、シャワーを浴びて着替えるだけだったり。
曲作りもしたいのにな・・
このあいだ浮かんだメロディー、パソコンに入れたままだな。
どんなだったっけ。咄嗟に浮かびもしない。
急に降りだした雨を、窓からじっと見つめる。
日本はどうだろ、降ってるのかな。
A、何してるかな・・
最後に会ったのは、カムバ前。
あの雨の日。
そういえばさっき、LINE来てたんだった、と
今、撮影した写真を送ったら、すぐに返信が来た。
電話をしようか、と思ったけど。
スタッフの出入りもあるので、やめた。
Aの身体を抱き締めて、眠りたいなぁ・・・
白い肌、柔らかい身体。
ヤリたいっていうよりも、抱き締めたい。
強がりの言葉を送ると、返ってきた言葉は
「一生寝るな、バーカ」
くくく。そう、それくらい言ってくれなきゃ。
心配ばかりしてんなって。
顔が見たいなぁと思い、ソロツアーのリハの動画を見た。
嬉しそうな顔から、一気に挙動不審に変わるA。
何回見ても面白い。
片付ける衣装を持ったヌナが部屋に戻ってきた。
・・・電話、かけなくてよかった。
「・・・あ、私のことは気にしないで。続けて？」
「ああ、今、怒りの返信来たから、もういいや」
「え？」
「いや、あいつ・・Aが、オレが寝てないの
心配してるみたいで」
「優しい人、ですよね」
「んー？・・・ふふん、今来た台詞はそんなんじゃないよ」
「え？」
「一生寝るな、バーーカ、って。くくく。
ま、オレがエラそうな言葉、送ったから。
ムカついたんだろ」
「・・・このあいだ、気をつかって私だけに包んでくれたお弁当、
おいしかったし、とても嬉しかったです。ありがとうって、伝えてください」
は？
いつ？
って、あの時しかないよな。
「え？そうなの？」
「・・・知らなかった？」
「うん」
「男の人ばかりの中で、手を伸ばして食べにくいだろうからって
ひとり分だけ別に包んでくれたんです」
「ふーん」
優しいヤツ。
いつもオレのことを考えて。
オレは、何をしてあげられるんだろう。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年4月24日 11時
