出勤 ページ18
残った料理を少しだけ冷蔵庫に入れ、
できるだけ今日中に食べてもらおうと、容器に詰めた。
「チャンソン、バナナもまだたくさんあるからね」
「うん、ありがとう」
スタッフさんには、ひとり分のお弁当を。
あまり食べてなかったし、もしかしたらおいしくなくて
口にあわなかったのかもしれないけど、イヤなら捨ててもらってかまわない。
少し、押し付ける形で、渡した。
「Aー。ちょっと来てー」
「なに？」
部屋へ行くと、紙袋を渡された。
「このあいだ言ってたやつ」
「・・・スニーカー？ありがとう」
「玄関の、置いて帰ったら？それ履いて帰れよ」
「うん。そうしようかな。ありがとう」
「・・なに、珍しいね。スニーカーでそんな嬉しそうにするの。
欲しかったの？」
「えー、いつも嬉しそうにしてるよ」
チャンソンが私に気をつけて帰って、と言い
スタッフさんが、私にお礼を言い、玄関を出た。
そのあとにジュノも。
「行ってきます」
「怪我、しないようにね」
私の手を握り、引き寄せ抱き締めた。
そして軽くキスをした。
いつも通り、あっさりとした、別れ方。
カムバックで忙しくなるから、今度はいつ会えるんだっけ？
コンサートの時？
ステージ上のジュノを見るだけになるのかな。
そんなことを考えながら、玄関で散らかった靴を揃えようと
しゃがんで、ひと組ずつ、並べた。
すると、再び、玄関のドアが開いた。
ハッと立ち上がると、
私の両頬はあたたかくて大きなてのひらに包まれ、くちびるが重なった。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年4月24日 11時
