ムードのない夜（ジュノ） ページ2
写真や映像に撮られるのが、なぜそんなにイヤなのか。
オレには全然わからない。
「もう、そんなに何度も見なくてもいいでしょー」
「なんで？こんなに面白いのに」
「本人が目の前にいるんだから。
そういうのは、私に会えなくて寂しいときに見なよ」
ソファに座ったオレの元へ、近づいてきたAの腰を引き寄せる。
全く拒否しない身体。
こうされるのを待ってたんだ。
「なに、かまってほしかったんだ」
「うん」
向かい合うようにオレにまたがり、自分からくちびるを重ねてくる。
はだけたバスローブから見える裸体。
ヤル気満々だな。
「オレの好きな下着、着ろよ」
「面倒くさーい、どうせすぐ脱ぐのに」
積極的なのは珍しいことではないけど。
こんなに急かすようなのは珍しい。
けど、それも悪くない。
強く、くちびるを押し付ける。
少し開いたくちびるに吸い付き、軽く噛み付いた。
「ここで、する？」
「ベッドがいい。抱っこして連れて行って」
「いいよ」
そのまま担ぐと、オレの肩の上で身体が二つ折りになったAは
大きな声で叫んだ。
「違うーーー！！お姫様抱っこ！！！
こんな荷物運ぶみたいなの、イヤーーーー！！！」
「重いから暴れるな、オレのお姫様」
ベッドへ放り投げると、身体を丸めて笑ってる。
「もー！ムードもなにもない！！」
「最初っからないだろ、そんなもの。
裸で自分からまたがってきたくせに」
「そっか。じゃあ、早くしよーよ」
両腕を広げ、オレを向かい入れる。
オレはバスローブを脱ぎ、上から覆いかぶさった。
これから、身悶え、とろけていくだろう顔と身体。
オレも、早く見たい、触れたい、感じたい。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年4月24日 11時
