24 ページ25
『そ、そう言えば、コワルスキーさんはなぜ、パン屋を開こうと思ったの？』
私はニュートの言葉に戸惑いながらも自分の話からコワルスキーさんへと話題を移すとさっきまで明るい表情だった、コワルスキーさんの顔に少し影が落ちる。
「なんでって、今きついんだよ。缶詰工場の仕事。働き詰めでさ。人生なんてあったもんじゃない。缶詰好きか？」
「……いや」
『……私も』
「そっか、俺もだ。だから、パンでみんなを幸せにしたいのさ。おっと、こっちだ」
道路を渡り、コワルスキーさんが指す方へと私とニュートもその後に続く。
「銀行の融資は貰えた？」
「ダメ……。担保がなくてね」
『確かにこのご時世で担保がないとなるとどこの銀行も難しいかも』
「それもあるけど……軍隊暮らしが長すぎたせいかもな」
「戦争に行ったの？」
「当然だろ。みんな行ったさ。そういうアンタは？」
「ドラゴンと戦ったよ。ウクライナ・アイアンベリー種。東部戦線でね」
『ド、ドラゴン』
ニュートの口からドラゴンと戦ったと聞くとやっぱり、魔法の世界と人間の世界だと戦争もここまでちがうのねと思っているとニュートが歩みを止め、立ち止まる。
『ニュート？』
「しっ」
ニュートが人差し指を立て、自分の唇に持っていき、静かにするように促す。
視線の先には車があり、ボンネットの上にキラキラしたイヤリングがあるのに気づく。
視線を下に落とすと道にそって、まるで道しるべのようにダイヤが落ちていて、それを辿って行くと一軒の宝石店に辿り着く。
私達はお店のショーウィンドウを覗くとバレないと思ったのか手に宝石をぶら下げた二フラーを見つける。
『っぷ……』
そのあまりにも可愛い光景に私は口が緩み、笑いそうになった口を手で押される。
ニュートは二フラーから視線を逸らさずに見つめていると二フラーはゆっくりとニュートの方に顔を向ける。自然的に二人の視線がバチっと合うと二フラーは少し歪んだ笑顔を見せると突然逃げ出した。
「フェネストラ！」
「『………っ！』」
ニュートが呪文と共に杖を一振りするとショーウィンドウのガラスが割れ、お店の中へと入っていた。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←23
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 252人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花音 - 初めまして♪凄く面白かったです( ≧∀≦)ノ続きがとても気になります( ;｀Д´)これからも応援してます(^○^) (2020年11月25日 13時) (
レス) id: c9954f1e86 (このIDを非表示/違反報告)
さら - ありがとうございます！リクエストいいですか？ニュートの学生時代のお話読みたいです！ (2019年1月11日 18時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - 始まして！コメントありがとうございます。そう言っていただけて、嬉しいです。ニュートカッコイイです！今度、短編も書こうと思うので読み＆リクエストがありましたらお待ちしてます。 (2019年1月10日 11時) (レス) id: ecdf1570b5 (このIDを非表示/違反報告)
さら - はじめまして！小説凄く大好きです！ニュート大好き格好いいですよね！更新いつも楽しみにしてます！体調には気を付けて下さい！！ (2019年1月9日 22時) (レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆか | 作成日時：2019年1月6日 1時
