１◆ ”エス”という男。 ページ40
「っ、私は……大介の傍にいたい」
「そっか、うん。いいよ。だったら傍に居な。ただしもう永遠に逃げられないよ」
Aは綺麗な綺麗な涙を流した。
Aの細くて白い首に両手を絡め、ゆっくりと締め上げる。「ヒュッ….」と、息を吸い込むAの頬に唇を寄せて真っ青になっていく彼女を見守った。
.
俺は子供の頃から喜怒哀楽の感情というものがよく分からなかった。
でも、分からないけど、だからって何か困ったこともないし普通に生きていたんだよ、ただ普通に。
それで良かったじゃんか。
忙しい父ちゃんと、そんな父ちゃんの帰りを待つ母ちゃん。そんな母ちゃんの笑顔を見てる時だけ胸があったかくなった気がしていた俺と、三人で普通に生きていけたら良かったのにね。
なにをどこで間違ったんだろう。
俺がもう少し自分を作れば良かったのか、父ちゃんがもう少し母ちゃんを労わって理解してくれたら良かったのか、母ちゃんが…………
『大介、あなたもいつかきっと大切な人に出会ったら心の底から幸せって笑える日がくるからね』
俺に向けた最後の笑顔。
そして俺が見た最後の母ちゃんは、
『あんな人、死ねばいいのにっ……』と、ギンギンに見開いた瞳で一点を見つめる母ちゃんと、血と涙に染まった死体。
「俺は、あの時どうするのが正解だった？ どうしたら今も母ちゃんは……」
明け方の空を見上げながら、そう空に問う。
でもその答えはきっと一生分かることはない。
でも一つだけ思うこと、母ちゃんはきっとこんな俺を望んではいないだろうってこと。
あの人はただ息子の幸せを願う、何処にでもいるただ普通の母ちゃんだったってこと。
だから俺は鍵を掛ける。
一つ仕事を片付ける度に、二度と誰かを殺めなくていいよにと。
だからお願い、俺のことはそっとしておいてね。
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ゆきんこ(プロフ) - 悠砂さん» コメントありがとうございます！最後まで読んでもらえて嬉しいですし、続きを読みたいと思ってもらえたことも嬉しいです！続きを書くとしたら、今回のようなスピードでは書けないかもですが書けるように頑張りたいと思います😌ありがとうございました！ (2022年8月8日 22時) (
レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
悠砂 - こんばんは。最後まで読ませていただき、続きが読みたいと思いました。ベッターでも占ツクでもいいので、続きが読めると嬉しいです！他の作品もあるので、大変かとは思いますが、ゆきんこさんの作品はとても好きなので、楽しみにしています。 (2022年8月7日 22時) (レス) @page44 id: cf5d43c431 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - みぃ。さん» みぃ。さーん！気にしてくれてる方いたー！って喜びの舞を踊ってます私😂 誰も気にしてないかぁって思ってたんですが、この伏線大好き女の私なので何かあるって思ってもらえないかなぁとか(笑) やる気出ました！頑張ります！！ (2022年8月6日 23時) (レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あきさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます😊 その言葉励みに頑張っております！！ (2022年8月6日 23時) (レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ。(プロフ) - ゆきんこさーん！途中でコメント入れるのはお久なのですが、中編まで公開、お疲れ様です！いや、私気になってんですよ、お兄。←コレが言いたくてコメントしました🤣後編も楽しみにしてます！ (2022年8月6日 19時) (レス) id: fb4296a570 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2022年8月4日 7時
