◆ ページ35
バンッ！と、テーブルの上のものが勢いよく跳ね上がる。
見たことがないくらい母ちゃんの綺麗な顔はぐちゃぐちゃに歪んでいて、ああこれが憎しみに歪んだ表情とかってやつかな？ なんて冷静に見ていたら、母ちゃんはボソッと言った。
「あんな人、死ねばいいのにっ……」
ビクンッ！！！！
聞いた瞬間、俺の身体中を巡る血液が熱く流れ出した気がした。
ピクリ、ピクリと指が動く。うずうずする感情に思わず口角が引き摺った。
笑うな、笑ったら多分怒られるから＿＿＿
その日の夜中、父は酔って帰って来た。
プンプンとくっさい香水とお酒の匂いを部屋に充満させるこの父、否＿＿棒人間。
「さあ、ショータイムを始めようか」
なんかのアニメで聞いて覚えた主人公の決め台詞かなんか。かっこいいなって思って覚えていたから使ってみた。
母ちゃんが庭の草を抜きをする時に使っていた軍手をはめて、キッチンから包丁を持って来た。
んもー、軍手ぶかぶかで握りにくいや。
棒人間はベッドに仰向けになって寝てくれている。こりゃ狙いやすい。
確か心臓はここ、触れたら温くてトクントクンって。あー、生きてるんだな。
「父ちゃん、ごめんね」
グサッと真上から心臓に包丁を突き下ろした。
あれ？ おかしいな、包丁が奥まで入っていかないんだけど。
想像よりも人間の身体って硬かった。そういえば父ちゃん鍛えるのが趣味だったっけ。筋肉って邪魔だな。
直ぐに死ねない人間ってのは、痛みでもがき始める。子供の俺の体躯で押さえるのは大変だから早く死んでもらわなきゃ。
キョロキョロ辺りを見て枕を手に取った。
それを苦しむ父ちゃんの顔に押し当て息を出来ないようにする。
「ぐふっ、うぐっ」
身体の中から外に出ようとする血は口の中から出ることが出来ずに、父ちゃんはきっとこれで窒息してくれるはず。
バタバタともがく。早く死んでよ、あんたは死んでほしいって望まれたんだから死んで、死ね！死ねよ！
どれくらい押さえつけてたのか、いつの間にか父ちゃんはピクリとも動かなくなった。
「死んだ？」
ブワッて腹の底から沸き起こる感覚に興奮した。殺してしまった、なんて懺悔の気持ちは全くなくて高揚感に包まれた。初めて楽しいかも？ っていう感情だった。
「なに、してるの？」
「あ、母ちゃん！ やったよ。母ちゃんが死ねばいいって言ったから、俺が殺してあげた！ ね、嬉しい？」
何故か震えながら涙を流す母ちゃん。
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ゆきんこ(プロフ) - 悠砂さん» コメントありがとうございます！最後まで読んでもらえて嬉しいですし、続きを読みたいと思ってもらえたことも嬉しいです！続きを書くとしたら、今回のようなスピードでは書けないかもですが書けるように頑張りたいと思います😌ありがとうございました！ (2022年8月8日 22時) (
レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
悠砂 - こんばんは。最後まで読ませていただき、続きが読みたいと思いました。ベッターでも占ツクでもいいので、続きが読めると嬉しいです！他の作品もあるので、大変かとは思いますが、ゆきんこさんの作品はとても好きなので、楽しみにしています。 (2022年8月7日 22時) (レス) @page44 id: cf5d43c431 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - みぃ。さん» みぃ。さーん！気にしてくれてる方いたー！って喜びの舞を踊ってます私😂 誰も気にしてないかぁって思ってたんですが、この伏線大好き女の私なので何かあるって思ってもらえないかなぁとか(笑) やる気出ました！頑張ります！！ (2022年8月6日 23時) (レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あきさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます😊 その言葉励みに頑張っております！！ (2022年8月6日 23時) (レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ。(プロフ) - ゆきんこさーん！途中でコメント入れるのはお久なのですが、中編まで公開、お疲れ様です！いや、私気になってんですよ、お兄。←コレが言いたくてコメントしました🤣後編も楽しみにしてます！ (2022年8月6日 19時) (レス) id: fb4296a570 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2022年8月4日 7時
