2◆ ”SAKUMA”という男。 ページ25
.
「ハマっちゃった漫画があってぇ。それめちゃくちゃ巻数多いのよ。でも一気に読まないと気になんじゃん」
「それで寝たのは何時?」
「寝てない」
「完徹ですか」
「そ、だからさーちょっと膝貸して」
「へ?!」
不思議だった。
人と極力深く関わりたがらないこの俺なのに、彼女は何故か違った。
一緒に居ると、お構いなく人の懐に入り込んで来くる。
名を須藤Aと言った。
膝枕なんてしてもらったことない。だからちょっと憧れがあった。ふわふわだわ、これは気持ちいね。
佐久間大介でいる時は力を抜いて暮らしてる。
ゆるゆるのこの俺だって本当の俺で、別に嫌いではない。
けど人との関わり方や、生き方が分からなくて、そんな俺を不気味がっていつからか俺に人は寄って来なくなった。それはそれで居心地も悪くなくて、このままずっと一人で生きていつか年老いて死んで行くのか、それとも俺も誰かに殺されて死ぬ未来だってあるかもね。
あ、なにか考え事してる時の顔だ。
須藤さんは少し変わってる子だ、俺に近付いてなんのメリットが君にあるんだろうって思うけど、最初は『お礼がしたかったから』と俺を捜していたと言った。
落っこちそうになっているのを助けただけでお礼をされるもんなんだね。
くらいにしか思ってなくて、その日彼女はジュースをご馳走してくれた。
これで終わると思ってたのに、須藤さんは度々俺の前に現れた。いつもなら相手をするのは疲れるはずなんだけど、これが不思議で疲れないんだよね。
彼女の声を聞いてると落ち着いたし、こうして身体を自らくっつけるとか有り得ないことが起きてる。
「……溶けるよ」
「え?」
忠告したけどもう既に溶けていて、仕方ないなって須藤さんの腕に垂れたアイスをペロッと舐めた。だってハンカチ忘れたんだもん。
………ん、甘え。
もう少し舐めようとしたけど、それは止められたから垂れてるところを教えてあげた。
必死にぺろぺろしてんの、なんか犬っぽくてかわいー。
「あー、すっごくベタベタ。垂れて気持ち悪いんで洗ってきますね」
「あ、うん……」
………え、あれ、なんで?
なんか息が苦しくて、目が泳ぐ。須藤さんが更に垂れないようにって腕を上げて押さえてる仕草を見て、ドクンと心臓が早くなる。
454人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - 悠砂さん» コメントありがとうございます!最後まで読んでもらえて嬉しいですし、続きを読みたいと思ってもらえたことも嬉しいです!続きを書くとしたら、今回のようなスピードでは書けないかもですが書けるように頑張りたいと思います😌ありがとうございました! (2022年8月8日 22時) (レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
悠砂 - こんばんは。最後まで読ませていただき、続きが読みたいと思いました。ベッターでも占ツクでもいいので、続きが読めると嬉しいです!他の作品もあるので、大変かとは思いますが、ゆきんこさんの作品はとても好きなので、楽しみにしています。 (2022年8月7日 22時) (レス) @page44 id: cf5d43c431 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - みぃ。さん» みぃ。さーん!気にしてくれてる方いたー!って喜びの舞を踊ってます私😂 誰も気にしてないかぁって思ってたんですが、この伏線大好き女の私なので何かあるって思ってもらえないかなぁとか(笑) やる気出ました!頑張ります!! (2022年8月6日 23時) (レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あきさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます😊 その言葉励みに頑張っております!! (2022年8月6日 23時) (レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ。(プロフ) - ゆきんこさーん!途中でコメント入れるのはお久なのですが、中編まで公開、お疲れ様です!いや、私気になってんですよ、お兄。←コレが言いたくてコメントしました🤣後編も楽しみにしてます! (2022年8月6日 19時) (レス) id: fb4296a570 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2022年8月4日 7時