◆ ページ21
また別の日、この日佐久間さんは公園に居なかった。出勤しているのは確認済みだったから、もしかしてバレた？ と焦ってくる。
ソワソワとベンチに座ってどうするべきか考えていると影が差した。
「こんにちは」、と両手にソフトクリームを持った佐久間さんが居た。
「半休？」
「そ。有給溜まってたし、ちょっと寝不足だったから休んじゃった」
それならどうして家に帰らず此処へ来たんだろうか、しかもソフトクリーム二個って私の為じゃないのって期待したり。
期待？ なんで期待？
「ハマっちゃった漫画があってぇ。それめちゃくちゃ巻数多いのよ。でも一気に読まないと気になんじゃん」
「それで寝たのは何時？」
「寝てない」
「完徹ですか」
「そ、だからさーちょっと膝貸して」
「へ？！」
パクッと最後のひと口を食べ終わると、私の許可なんて取らずに佐久間さんは私の足の上にコロンと頭を乗せて転がった。
びっくりしてソフトクリーム落としかけた。
「………」
「ほんのちょっとだけ」
生温い風にふわって前髪を遊ばれている。
いくら日陰といえど真夏の公園は暑いのに、佐久間さんはいつ見ても涼しげで爽やかだ。
こんな人出会ったことがない。
いつも私の周りに居るのは自分勝手の危ない奴か、うちの表向きの顔に惹かれて寄ってくる見栄を張りたいだけの奴。
佐久間さんみたいに、ほわんとした空気感を持った人は居ない。
でもこれは彼の表の顔なんだ。彼にもまた裏の顔”エス”としての顔が潜んでいる。
だから分かってる。
惹かれてはならないって。時々感じるこのドキドキした感情は、私が彼に決して抱いちゃいけない感情なんだってことは。
「……溶けるよ」
「え？」
下から寝ているはずの人の声に驚き見れば、佐久間さんはニッと笑って私の手を掴んだ。
頭を起こして、私の手に垂れてきたアイスをペロッと舐める。
ビクッと揺れる。
「ほら早く食べなきゃ」
「あっ、うん！」
「ほらほらほらー、そこ、あとそっちー」
まさかソフトクリームの食べる場所を支持される日が来ようとは。
なんとか食べきれたけど、手はベトベトになってしまった。
公園の手洗い場で洗って戻ると、佐久間さんは難しそうな顔をして携帯を見ていた。
「あの、どうかしました？」
「ん？ ああ……ほらこれぇ！ このゲームおもろいかなって」
なにを見てたんだろう。
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ゆきんこ(プロフ) - 悠砂さん» コメントありがとうございます！最後まで読んでもらえて嬉しいですし、続きを読みたいと思ってもらえたことも嬉しいです！続きを書くとしたら、今回のようなスピードでは書けないかもですが書けるように頑張りたいと思います😌ありがとうございました！ (2022年8月8日 22時) (
レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
悠砂 - こんばんは。最後まで読ませていただき、続きが読みたいと思いました。ベッターでも占ツクでもいいので、続きが読めると嬉しいです！他の作品もあるので、大変かとは思いますが、ゆきんこさんの作品はとても好きなので、楽しみにしています。 (2022年8月7日 22時) (レス) @page44 id: cf5d43c431 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - みぃ。さん» みぃ。さーん！気にしてくれてる方いたー！って喜びの舞を踊ってます私😂 誰も気にしてないかぁって思ってたんですが、この伏線大好き女の私なので何かあるって思ってもらえないかなぁとか(笑) やる気出ました！頑張ります！！ (2022年8月6日 23時) (レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あきさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます😊 その言葉励みに頑張っております！！ (2022年8月6日 23時) (レス) id: 81b6eaa049 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ。(プロフ) - ゆきんこさーん！途中でコメント入れるのはお久なのですが、中編まで公開、お疲れ様です！いや、私気になってんですよ、お兄。←コレが言いたくてコメントしました🤣後編も楽しみにしてます！ (2022年8月6日 19時) (レス) id: fb4296a570 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2022年8月4日 7時
