僕は君のPeterPan3

血と過去 ページ24

ホンビン視点

「可愛げのない奴だな。普通首の横ザックリ切られたら悲鳴上げるもんだぜ」
「……ザックリというほどでもないですよ。この程度じゃ死にませんし、他に気がかりなことが多すぎて痛みも感じません」
真顔で答えると男は舌打ちをして前を向いた。強がっては見せたが、正直怖くてたまらないし、首は痛いなんてもんじゃない。右肩は血で濡れている
車に乗せられてすぐに結束バンドで拘束され、シートに頭を固定された。下手に動けば首が閉まる中しばらく走るとノーブル事務所の前につけられた。外からは見えない車の中、男は突然僕の首にナイフを当て、引いた。そしてそのナイフを僕の写真とともに包んでどこかへ持って行った。そしてまたしばらく車を動かし、今に至る
「……どこかの駐車場ですか？見えないけど、静かですね」
「あまりこの辺まで車が停まる事はないし、監視カメラは事前に壊してある。叫んだって誰も来ない」
言われなくても、叫べない。体からどんどん血が失われていくのがわかる
「……死体は人質とは呼べませんよ」
「お前が死体になろうと俺は知らん。ノーブルはその事がわからんからな、そうなったらすべて終わってから死体を返してやればいい事だ。そもそも生きたお前を帰すとは誰も言ってない」
どうやら金目当てではないらしい。怨恨か
「………チョ・ハンビョル」
「！？」
男がびくりと肩を揺らした
「関係者ですか。復讐しようと？」
「ハッ……おい小僧、いい事教えてやる。お前の大好きなハンビョルおじさんは俺が殺したんだ」

思わず凍りついた

「お前の親父に雇われてな。ちょうどホテルを首になって金に困ってたし、そいつを薬で眠らせて火事を起こせば一生困らない額の金をくれるって。それなのにヘマして捕まった時、面会に来て“本当の事など誰も信じない”って言ってあっさり見捨てやがった。やっと出所して会いに行ったら顔見ただけで警備員呼ばれたよ」
「……何故信じちゃうんですか。息子の僕でもわかりますよ、あいつ良心とかないですよ。自分の手汚さないためにはあなたを消す事も厭わない」
「黙れ」
鼻先に新しいナイフを突きつけられる
「あいつを破滅させる事が俺の目的だ。罪を認めればあいつの人生が終わる。もし金を払ったら終わるのはお前の人生だ」
「……どっちもありえませんよ。あいつは僕の為なんかに……うっ」
「黙ってな、早く死にたいんでなければな」






遠のく意識の中、フロントガラスにありえない人物が映った

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