僕は君のPeterPan3

“幸せな部外者” ページ20

D.O視点

襟首を掴まれ揺さぶられる
N「俺とあいつが見てきた地獄、全部お前に見せてやろうか、ああ！？」
「ハギョンさん！！やめてそれ以上……」
N「煩い黙ってろ！お前もAも、何もわかってない！結局は“幸せな部外者”だ！！」
Aが凍りついた事にも気付かず、チャ・ハギョンは続ける
N「お前は施設で毎晩ろくに眠らずにいつ折檻に呼び出されるかと怯えながら夜過ごした事あるか！？周りに取り上げられないようにろくに噛まずに食事をした事は！？わけもわからず真冬に泥水ぶっ掛けられて指差されて笑われた事は！？何も悪い事をしていないのに、何か問題が起こるとすべて俺達のせいにされる。『施設育ちだから』『親がいないから』『ろくな教育を受けていないから』………俺らからすべて奪って行ったのは誰だ！！」
頬に冷たい水滴が落ちる。泣きながら悲鳴の様に言葉を紡ぐ彼を見て、抵抗する力が抜けた。腕をだらりと下げる
N「………テグンも俺も、誕生日を今でも忘れる。普通はどんなに孤独だろうと誕生日ってのは普通に訪れるもんだ。でも俺達にとっては呪われた日だ。俺は誕生日に居場所を失い、あいつは誕生日に殺されかけた………一生抱えてろって？忘れたんじゃない。封じたんだ、人間として、ちゃんと心を持った人間として生きるために。あいつは今でもちゃんと話せない。あいつの声を聞けるのは俺とAとホンビンだけだ」
俺を放して疲れきったように座り込んだ
N「過去はいつまでも足を引っ張る………周りの目、トラウマ、今回の事だって」
俺は立ち上がって玄関に向かった
N「どこ行くんだ」
「………ホンビンがどこにつれてかれたかは検討もつかない。でもあの女が行きそうなところはいくつかある。ジョン・テグンを見つけられるかもしれない……………それから」
俺は立ち尽くしたままのAを指す。チャ・ハギョンは彼女が今にも死にそうな顔で凍り付いている事に首を傾げる
「俺のせいとはいえ、一番言っちゃ駄目な相手でしょ………“幸せな部外者”とか」
彼は真っ青な顔で口を押さえる
N「あ……Aちゃん」
「……急がないと。ジョンインに連絡してから、ギョンス、道案内お願い」
「……ん」
N「待って、俺は……」
「車出しといて“下さい”」
彼女の語尾に、自分の失言を悟ったのか、彼は泣きそうな顔になった









俺が、彼らを壊したんだ
修復出来なかったとしたら、俺は………

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