Haengbok (ページ1)

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「ほら、早く言いなさい。」

「あぅっ、」

「いつもこう言わないと言えないのか？」

「あ、あいし…っ、」

「……お前は相変わらず頭の悪い子だなぁ」

部屋の隅に置かれた椅子に座って腕を組むその仕草がスローモーションに見えて、冷ややかな視線と熱っぽい視線を同時に浴びながら、身体全体に広がる刺激にされるがまま

限界を迎えた身体は軽くしびれるように震えて、そのまま意識が遠のいていくのだけを感じた

「……おはようございます」

「支度をしなさい。」

「はい」

「待ちなさい。今日はいつものじゃなくてこれだ」

「？……はい」

おじ様はいつもと同じようにオーダーメイドのスーツを身に纏ってソファに腰掛け、新聞を広げ、優雅にコーヒーを啜っている

わたしがいつも着るものは単色のワンピース
でも着心地も良いし、きっとおじ様と同じようにお高いものなんだとおもう。

今わたしの腕の中にあるのワンピースには可愛らしいお花が散りばめられていて、所々にきらきらと光る石もあって

「……わあ、」

それを身に纏ったわたしが映る鏡
無意識のうちに口角があがっていたみたい。

「気に入ったかい？」

「っはい！とっても可愛くて、その、」

「今日は特別な日だからね。」

「とく、べつ…？」

「早くその靴を履いて車に乗りなさい。」

「はい、」

いつもと同じはずなのになにかがちがう。

今日することを聞くことはできないから、静かについていくことしかできないけれど……

「……？」

いつもの建物の前を通り過ぎてしまった

「今日は特別だと言っただろう？」

「はい、」

「お前は何も気にしなくていい。」

おじ様はあれやこれやと聞かれるのがきらいだから、なにも聞かないけれど。
なんだか緊張して胸が苦しくなって、綺麗に整えられた爪を眺めることしかできない

「着いたぞ」

「わあ、」

おじ様の声で顔をあげると、目の前にはすごくきらきらとした建物があった

「ここで食事をするから。作法は覚えているね？」

「はいっ」

「よろしい。じゃあ車から降りるんだ。」

シートベルトを外して、言われた通り車から降りて、おじ様の後ろをついて行く

こんなに胸の奥がざわざわとするのはきっと、いつもとちがう服を着ているからだよね。