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あのあと本当に沢山話したAちゃん。
｢湧くん、いっぱい話しちゃってごめんねっ｣
｢んーん、すっきりした？｣
｢うん｣
テーブルの上に置いてあったティッシュで流れる涙を拭いてあげれば｢湧くん｣ってぎゅっと掴まれた手。
｢ん？｣
｢なんで今日来てくれたの？｣
部屋に着いてからAちゃんの話をずっと聞いてたから俺の話はできてなくて確かにそうだよね。本当は家も知らない奴なんだから。
｢りゅうせいくんが家教えてくれて｣
｢違うくて、｣
首をぶんぶん振ったAちゃん掴んだ俺の手を取り直して次はぎゅっと指と指を絡めて恋人繋ぎに直した。
そのAちゃんの目がなんだか寂しそうなそんな気がした。
｢…好き。好きだからAちゃんに会いたかった｣
って俺なりに微笑んだらぎゅっと抱きつかれる。
｢もうAちゃん笑｣
｢今日いっぱい泣いて目パンパンだったから湧くんに会いにいかなかったのに来ちゃったら意味ないじゃん。かわいくないって思われる｣
ってまた泣き出すAちゃんの背中を優しく撫でる。
｢んーん、いつもかわいい。湧くん聞いてって言ってくるのも、他の店員いるのに俺が近く言った時に注文してくるのも、ハイボール飲んでるのも全部全部かわいい。だからりゅうせいくん来た時ちょっと嫉妬した。｣
そう言えば｢湧くんずるい｣なんて痛いくらいに抱きしめられる。
｢湧くん好きだから、でも好きっていって湧くんに会えなくなるのが怖くて、でもずっと今のままだったら湧くんもずっとあそこにいないから、このまえ酔ったフリして湧くん試しちゃった、ごめんね｣
だからか、あのときりゅうせいが来た瞬間パッとふらつきもせずに立ち上がったのは。
｢Aちゃんずるい女だね笑｣
｢嫌いになった？｣
って不安そうに顔を覗き込んでくる。
｢んーん、そんなずるいAちゃんの作戦にまんまとはまっちゃったよ俺。ね、Aちゃん寂しい思いさせないから俺と付き合ってくれませんか？｣
｢ふふっ、もちろん私も湧くんだいすき｣
って勢いよくまた抱きついてきて耐えれなくて後ろにひっくり返った俺の上にはAちゃん。
そんなAちゃんに初めてキスをした。
あー、こんな幸せあっていいのかな。
ただの店員と常連だったAちゃん。
あのとき外に呼び込みしてこいって言った店長に心の中でありがとうを伝えた。
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作者名：にゃん | 作成日時：2023年4月5日 22時
