わたがし ページ3
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｢質問です！織山くんは明日世界が終わったらどうしますか？｣
そうキラキラした笑顔を浮かべ問いかけてくる君は僕には眩しすぎるくらいで、
君が太陽なら、僕は月。
｢んー、何もしないかな。普通の日常のままかな。｣
｢私は何もにしないまま世界終わっちゃうのは嫌だなー、
私だったら好きなひとに告白するかも。｣
あっ、好きなひといるんだ。
｢じゃあ織山くんは雨が嫌いですか？？｣
｢まぁ、傘さすのめんどいし｣
｢私は嫌いじゃないかな。なんかさ嫌なことも全部一緒に流れちゃいそうじゃない？｣
｢織山くんとは話が合わないなー｣って拗ねたように口をとがらせてる君は
学校の人気者で、いつも笑顔で気を遣えて
俺が人生で出会った中でいちばん真っ直ぐな人。
俺との関係はただの放課後に話すだけのクラスメイト。
君からしたらね。
初めて君と出会ったのは太陽が出ててもぽかぽかと感じれるくらいの春だった。
｢織山くんみっけ！｣
話したこともないのに君は馴れ馴れしく俺に話しかけてきたね。
次の日もその次の日も決まって君は放課後同じ時間に同じ場所に現れては俺の右横で笑った。
最初は馴れ馴れしいしほっといて欲しかったけど、
いつしか君がいることが当たり前になって自然と好きになった。
「ねぇねぇ、織山くんはさ今楽しい？」
「楽しいよ」
「私にはそうは見えないけどなあ」
ってえへへと笑った君に不本意にもかわいいと思った。
「織山くんといると私幸せだな」
その言葉を俺は聞かないふりをしてしまった。
次の日、彼女は学校には来なかった。
ただ担任がホームルームで告げたことがあまりにも衝撃だった。
昨日の質問はそういう意味で言ってたの？
ねぇ、教えてよ。
「織山くんといると私幸せだな」ってあれは告白だったの？
俺が君の生きる世界を奪ってしまった？
太陽みたいな君の裏側は月だったのかな。
放課後、今日は雨だった。
雨は嫌なことも全部流してはくれなかった。
｢だいすきだったよ｣
そう呟いた言葉と俺の頬を伝う涙だけが雨と一緒にながされた。
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作者名：にゃん | 作成日時：2023年4月5日 22時
