チョコレート ページ1
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｢Aちゃん大丈夫？？｣
3ヶ月前程にうちの会社に入ってきた新入社員のAちゃん。
入ってすぐなのに一生懸命に仕事を早くこなすから
上司に気に入られたのか1年目から残業ばかりを繰り返している。
｢あっ、湧先輩お疲れ様です！｣
そうやって笑顔で頭をペコペコ下げてくるAちゃんは礼儀が正しくて、いっつも笑顔でちょっとだけ心配になる。
｢もう8時過ぎるけど帰んないの？｣
｢これ終わらせてから帰ります！｣
｢Aちゃんさ、無理な仕事は無理って言わないと｣
｢私が仕事遅いのが悪いんで、｣
そんなことない。
普通なら1年目に任せる仕事じゃないのも任せて、責任を追わせてる。そんなの方の荷が重いはずなのにいつも笑顔で嫌な顔を見せないAちゃん。
あーなんかやっぱりほっとけないんだよな。
｢Aちゃん、俺にはうそつかないで？｣
ほら、しんどいんじゃん。
Aちゃんの大きな瞳からポロポロ溢れ出す涙につい思わず抱きしてしまう。俺歳上がタイプなはずなのにな。
やっぱり理想って理想なんだよな。
いつからかちょこまか一生懸命動いて、笑顔のAちゃんがほっとけない存在になって俺の心の中で大きいものになった。
｢わくせんぱいっ、｣
｢大丈夫、大丈夫、｣
これはセクハラになるかもしれない。
でも背中にぎゅっと回る手に離すことなんて出来なくて頭を撫でてあげることしか出来ない。
｢俺がいるから、な？俺にはちゃんとなんでも言って？｣
｢しんどいっ、もう辞めたいです、｣
顔をのぞきこんで涙を拭ってあげるけど止まらない涙。
この子の素顔はきっと甘えん坊で、弱いんだなってこの時初めて思った。だから守ってあげたいって。
｢Aちゃん明日から俺とお仕事しよっか、｣
俺たちの職場はグループ事でのお仕事で一緒じゃない限りはAちゃんのグループと関わることは無い。
｢でも、そんなこと、｣
｢俺が上手いこと言うよ、大丈夫だから気にすんな｣
頭を撫でてあげると少しほっとした顔に俺は何だか胸が高鳴った。
｢だからさ、明日から俺とがんばろうよ｣
｢わく先輩とならもうちょっとだけ頑張りたいです｣
そう笑った顔にはもう作り笑いなんてなくて、
ちょっとだけ自惚れてしまう自分がいた。
仕事は苦い。でも恋は甘くてもよくね？
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作者名：にゃん | 作成日時：2023年4月5日 22時
