表情筋死んでるガール【wrwrd】

十八 ページ18

ガチャ、と扉の音がする

「…A、おはよう。」

声の方を向くとトントンが立っている

「あれ…昨日の晩飯食ってへんの」

昨日鬱が置いた手のつけられていないご飯をみてトントンは言った

「手を拘束されていて食べれなかったです。」

その言葉にトントンは、はぁ…とため息をつく

「大先生か…。飯の時は拘束はずしたれ言うたのに彼奴は…
腹減っとうやろ。手の外したるから食べ」

そう言いカチャカチャと手の拘束を解くトントン

一日ぶりに開放された両手を見ると手首には痛々しい跡がくっきり残っている

目の前に置かれたご飯を手に取り、パクと口に運ぶ

「…不味いですね」

「贅沢言うな。しゃーないわ」

不味いと分かっていながらも昨日からなにも口にしていないAの手は止まらない

「ご馳走様でした」

Aが言うとトントンは手出し、とまたAの手を拘束した

「トントンさん、私何故疑われているんでしょうか」

その言葉にトントンは目を見開く
そして、口を開ける

「あんたの部下にトレートルっちゅう奴がおるやろ
そいつがグルさんに、あんたが総統室から書類を盗るのを見たと言ったんや」

「はあ…。」

トレートルとは誰だ。とAは記憶を辿る
嗚呼、あの男性にしては少し小柄な方か。と思い出す

「取り敢えず、今日も色々聞き出されるやろうから」

そう言いトントンはトレーを持って出ていった




数時間もするとまた幹部が来る

来たのはチーノだった


「お1人ですか？」

「せやねえ、コネシマさんがチーノも1回してみろ、経験やー言うから」

「そうですか。私、なんの情報も持っていませんけどね」

「それは困るなあ…俺コネシマさんに怒られてまうわ」


そう言い目の前の椅子に座るチーノ
「早く自首してくれへんかなあ」

「自首も何も、自首する事がないので」

「じゃあ、アリバイでも作ってみる？

…先週の火曜、2時過ぎくらい、どこでなにしてた？」


先週の火曜の記憶を辿る
Aは、あっと思い出し話し出す




「私その日、医務室で鬱さんとタバコしながらお話してましたよ。」

その言葉にチーノはへっ？と間抜けな声を出す

「兄さんと煙草…それほんま？」

「嘘を言ってもしょうがないでしょう」

「はぁ、待っとってな。それほんまやったら大事件やわ。確認してくる」

そう言ってチーノは椅子をたち走って部屋を出ていった

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